スポーツ

元騎手・蛯名正義氏がダービーを振り返る とにかく凄くて走り方がかっこよかったトウカイテイオー

コロナ禍の競馬界を振り返る

ダービーで過去25回騎乗した名手・蛯名正義氏

 1987年の騎手デビューから34年間にわたり国内外で活躍した名手・蛯名正義氏は、2022年3月から調教師として活動中だ。蛯名氏の週刊ポスト連載『エビショー厩舎』から、何度も挑戦したダービーについてお届けする。

 * * *
 今週はいよいよダービーです。翌週から2歳新馬戦が始まることでもわかるように、競馬界はダービーに始まってダービーで終わるようにレース番組がつくられていますね。

 僕はこの夢舞台に25回騎乗させてもらいましたが、勝つことはできませんでした。皐月賞馬で挑んだことは3回、凱旋門賞で2着になったナカヤマフェスタなど古馬になってからGIをとらせてもらった馬で参戦したこともあります。2着、3着、5着が2回ずつ、4着が3回あって、あと一歩のところでしたが、その一歩が遠かった。

 2002年は皐月賞を勝ったノーリーズンの依頼をいただきましたがタニノギムレットがいました。2004年はデビュー戦から騎乗し青葉賞で2着に2馬身半差をつけて勝ったサンデーサイレンス産駒のハイアーゲームで挑みましたが3着。この時は1着がキングカメハメハで2着がハーツクライ。種牡馬として一時代を築いた2頭に負けてしまった。

 もっとも悔しかったのは2012年、青葉賞を勝って参戦したフェノーメノはハナ差でディープブリランテの2着でした。5番人気だったけれど僕は勝つつもりで臨み、最後は捉えたかに思えたぐらいでした。馬は最高の仕上がりだったし、レースもこれ以上望めないぐらいの理想的な流れでしたが、すべてが完璧でも勝てないのがダービーです。結果がすべて、勝った馬が強いということです。

 古馬になってからのダービー馬に騎乗する機会もなかったので、他の馬とどう違うのかというのは分かりませんが、同じレースに乗っていて強烈な印象として残っているのはトウカイテイオーです。初めてダービーに出た時の勝ち馬だったからかもしれませんが、とにかく凄かったなあ。鞍上は安田隆行先生だったのですが、ほとんど馬なりで走り方がかっこよかった。凄く弾んで柔らかい、緩すぎるんじゃないかっていうぐらいの弾み方でしたね。ダービーの後故障しましたが、復帰戦の大阪杯まで7戦7勝。お父さんのシンボリルドルフが菊花賞まで8戦8勝ですからすごい親子ですね。

関連キーワード

関連記事

トピックス

独走でチームを優勝へと導いた阪神・藤川球児監督(時事通信フォト)
《いきなり名将》阪神・藤川球児監督の原点をたどる ベンチで平然としているのは「喜怒哀楽を出すな」という高知商時代の教えの影響か
週刊ポスト
容疑者のアカウントでは垢抜けていく過程をコンテンツにしていた(TikTokより)
「生徒の間でも“大事件”と騒ぎに…」「メガネで地味な先生」教え子が語った大平なる美容疑者の素顔 《30歳女教師が“パパ活”で700万円詐取》
NEWSポストセブン
ロッテの美馬学投手(38)が今シーズン限りで現役を引退することを発表した(時事通信フォト、写真は2019年の入団会見)
《手術6回のロッテ・美馬学が引退》「素敵な景色を見せてくれた」国民的アニメの主題歌を歌った元ガールズバンド美人妻の想い
NEWSポストセブン
《悠仁さま成年式》雅子さまが魅せたオールホワイトコーデ、 夜はゴールドのセットアップ 愛子さまは可愛らしいペールピンクをチョイス
《悠仁さま成年式》雅子さまが魅せたオールホワイトコーデ、 夜はゴールドのセットアップ 愛子さまは可愛らしいペールピンクをチョイス
NEWSポストセブン
LUNA SEA・真矢
と元モー娘。・石黒彩(Instagramより)
《80歳になる金婚式までがんばってほしい》脳腫瘍公表のLUNA SEA・真矢へ愛妻・元モー娘。石黒彩の願い「妻へのプレゼントにウェディングドレスで銀婚式」
NEWSポストセブン
昨年10月の総裁選で石破首相と一騎打ちとなった高市早苗氏(時事通信フォト)
「高市早苗氏という“最後の切り札”を出すか、小泉進次郎氏で“延命”するか…」フィフィ氏が分析する総裁選の“ウラの争点”【石破茂首相が辞任表明】
NEWSポストセブン
万博で身につけた”天然うるし珠イヤリング“(2025年8月23日、撮影/JMPA)
《“佳子さま売れ”のなぜ?》2990円ニット、5500円イヤリング…プチプラで華やかに見せるファッションリーダーぶり
NEWSポストセブン
次の首相の後任はどうなるのか(時事通信フォト)
《自民党総裁有力候補に党内から不安》高市早苗氏は「右過ぎて参政党と連立なんてことも言い出しかねない」、小泉進次郎氏は「中身の薄さはいかんともしがたい」の評
NEWSポストセブン
阪神の中野拓夢(時事通信フォト)
《阪神優勝の立役者》選手会長・中野拓夢を献身的に支える“3歳年上のインスタグラマー妻”が貫く「徹底した配慮」
NEWSポストセブン
朝比ライオさん
《マルチ2世家族の壮絶な実態》「母は姉の制服を切り刻み…」「包丁を手に『アンタを殺して私も死ぬ』と」京大合格も就職も母の“アップへの成果報告”に利用された
NEWSポストセブン
ブリトニー・スピアーズ(時事通信フォト)
《ブリトニー・スピアーズの現在》“スケ感がスゴい”レオタード姿を公開…腰をくねらせ胸元をさすって踊る様子に「誰か助けてあげられないか?」とファンが心配 
NEWSポストセブン
2013年に結婚した北島康介と音楽ユニット「girl next door」の千紗
《不倫報道で沈黙続ける北島康介》元ボーカル妻が過ごす「いつも通りの日常」SNSで垣間見えた“現在の夫婦関係”
NEWSポストセブン