国内

【秘話発掘】なぜ旧統一教会を追及する鈴木エイト氏は「鈴木エイト」と名乗るようになったか

鈴木エイト氏(時事通信フォト)

ジャーナリストの鈴木エイト氏(時事通信フォト)

 安倍晋三元首相銃撃事件から間もなく1年が経とうとしている。この間、メディアで自民党と旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の関係を追及してきたのが、ジャーナリストの鈴木エイト氏だ。なぜ彼は、この問題を追い続けてきたのか。鈴木氏は新刊『自民党の統一教会汚染2 山上徹也からの伝言』で、そこに至る秘話を明かした。抜粋してお届けする。

 * * *

 私がカルト問題にかかわることになったきっかけについて改めて詳細に記しておきたい。それは2002年6月、JR渋谷駅の改札口近くで統一教会が組織的に行っていた偽装勧誘を目撃したことに始まる。前日に日本テレビの報道番組『報道特捜プロジェクト』が同教団による組織的な正体隠し伝道の実態について放送していた。番組で取り上げていた「手相の勉強」「青年意識調査アンケート」を入り口とした勧誘の手口を観て義憤を感じていた私にとって、目の前で行われている偽装伝道を見逃すわけにはいかなかった。

 考えるよりもまず先に体が動いた。鑑定士を名乗る信者の男女2人に捉まり手相を見せていた女性に「これは統一教会という宗教団体による偽装勧誘ですよ」と忠告した。「違いますよ」「何ですかあなたは」薄笑いを浮かべ反論する男性信者勧誘員。何とか解放させた後、周辺を見て回ると渋谷駅周辺にはターゲットを物色する統一教会勧誘員が数十人いた。捉まっている人に声をかけ、片っ端から救出した。

 その後、仕事帰りや休日に時間を作っては渋谷駅周辺を見回って統一教会の偽装勧誘阻止活動をするようになった。統一教会に限らず街頭ではデート詐欺、募金詐欺といった様々な詐欺的勧誘が横行していた。カルト的な宗教団体による偽装勧誘が最も多く、怪しい現場を見つけては介入し阻止して回った。

“パトロール”の範囲は渋谷に留まらず新宿・池袋と拡がり、都内を中心に近県にも行くようになった。最初は単に嘘を吐いている勧誘員を問い詰め論破することに主眼を置いていた。だが次第に、偽装勧誘を阻止した後に信者とコミュニケーションを取るようになってからは、私の取り組みも変化していった。勧誘員もまた最初は偽装勧誘を受けマインドコントロールされた被害者だと気づいたからだ。被害者が次の被害者を生んでいくカルト問題の構造を知り、勧誘被害者を救出するだけで終わりとするのではなく、積極的に信者と話すことでカルト問題の複雑さや深刻さの理解に努めた。

 最初に勧誘現場に遭遇した際、見て見ぬふりもできたのになぜわざわざ面倒くさいことに首を突っ込んで声をかけたのかと訊かれる。そんな時は、目の前で溺れている子どもを発見したような状況と同じだと答えている。そういうシチュエーションに遭遇したら誰しも後先考えず飛び込んで助けるはずだからだ。

関連記事

トピックス

高石あかりを撮り下ろし&インタビュー
『ばけばけ』ヒロイン・高石あかり・撮り下ろし&インタビュー 「2人がどう結ばれ、『うらめしい。けど、すばらしい日々』を歩いていくのか。最後まで見守っていただけたら嬉しいです!」
週刊ポスト
結婚を発表した趣里と母親の伊藤蘭
《趣里と三山凌輝の子供にも言及》「アカチャンホンポに行きました…」伊藤蘭がディナーショーで明かした母娘の現在「私たち夫婦もよりしっかり」
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
《恐怖のマッサージルームと隠しカメラ》10代少女らが性的虐待にあった“悪魔の館”、寝室の天井に設置されていた小さなカメラ【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
2025年、第27回参議委員議員選挙で使用した日本維新の会のポスター(時事通信フォト)
《本当に許せません》維新議員の”国保逃れ”疑惑で「日本維新の会」に広がる怒りの声「身を切る改革って自分たちの身じゃなかったってこと」
NEWSポストセブン
防犯カメラが捉えた緊迫の一幕とは──
《浜松・ガールズバー店員2人刺殺》「『お父さん、すみません』と泣いて土下座して…」被害者・竹内朋香さんの夫が振り返る“両手ナイフ男”の凶行からの壮絶な半年間
NEWSポストセブン
寮内の暴力事案は裁判沙汰に
《広陵高校暴力問題》いまだ校長、前監督からの謝罪はなく被害生徒の父は「同じような事件の再発」を危惧 第三者委の調査はこれからで学校側は「個別の質問には対応しない」と回答
NEWSポストセブン
ドジャース・山本由伸投手(TikTokより)
《好みのタイプは年上モデル》ドジャース・山本由伸の多忙なオフに…Nikiとの関係は終了も現在も続く“友人関係”
NEWSポストセブン
齋藤元彦・兵庫県知事と、名誉毀損罪で起訴された「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志被告(時事通信フォト)
NHK党・立花孝志被告「相次ぐ刑事告訴」でもまだまだ“信奉者”がいるのはなぜ…? 「この世の闇を照らしてくれる」との声も
NEWSポストセブン
ライブ配信アプリ「ふわっち」のライバー・“最上あい”こと佐藤愛里さん(Xより)、高野健一容疑者の卒アル写真
《高田馬場・女性ライバー刺殺》「僕も殺されるんじゃないかと…」最上あいさんの元婚約者が死を乗り越え“山手線1周配信”…推し活で横行する「闇投げ銭」に警鐘
NEWSポストセブン
親子4人死亡の3日後、”5人目の遺体”が別のマンションで発見された
《中堅ゼネコン勤務の“27歳交際相手”は牛刀で刺殺》「赤い軽自動車で出かけていた」親子4人死亡事件の母親がみせていた“不可解な行動” 「長男と口元がそっくりの美人なお母さん」
NEWSポストセブン
トランプ大統領もエスプタイン元被告との過去に親交があった1人(民主党より)
《電マ、ナースセットなど用途不明のグッズの数々》数千枚の写真が公開…10代女性らが被害に遭った“悪魔の館”で発見された数々の物品【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《ハワイで白黒ペアルック》「大谷翔平さんですか?」に真美子さんは“余裕の対応”…ファンが投稿した「ファミリーの仲睦まじい姿」
NEWSポストセブン