国内

「車内の蚊やハエを愛でて」“白装束集団”騒動から20年…パナウェーブ研究所に向かうキャラバン隊の中で教祖がとっていた行動

眼鏡のフレームまで白く覆った通称「パナウェーブ研究所」のメンバー(時事通信フォト)

眼鏡のフレームまで白く覆った通称「パナウェーブ研究所」のメンバー(時事通信フォト)

“白装束集団”騒動からちょうど20年。渦巻き模様のステッカーがベタベタと貼られた白いワゴン車の車列などがテレビや新聞・雑誌で連日報じられ、さまざまな凶悪事件を引き起こしたオウム真理教を想起させ視聴者・読者を不気味がらせた。あの騒動は何だったのか。この1月に出版された『白装束集団を率いた女──千乃裕子の生涯──』(論創社)は、著者の金田直久氏が丹念に資料を読み込み、関係者に取材し、白装束集団を率いた千乃裕子氏(2006年に逝去)と集団の実態に迫った渾身のノンフィクションだ。金田氏に話を聞いた。【前後編の前編】

 * * *
“白装束集団”がメディアに初登場したのは、2003年4月発売の週刊文春の記事。その前年、多摩川に出没したアゴヒゲアザラシのタマちゃんを捕獲しようとした「タマちゃんのことを想う会」の正体が、千乃正法というカルト宗教団体だった、と断じたものだった。

 この記事をきっかけに、テレビや新聞がセンセーショナルに“白装束集団”について次々に報じた。

「僕自身、報道で見聞きして不気味な集団だなと思っていたのですが、10年ほど前、この団体の初期の会員だった、という方とたまたま出会ったのがきっかけで、あの騒動は何だったのか、彼らはどんな団体だったのか、について調べてみたのがこの本を出すきっかけです。

 この団体や教祖の千乃裕子について知るにつけ、あの不気味な団体の実情は騒動ほどには攻撃的な危険な団体ではないし、もともとは真面目な人たちが純粋に高い精神性を求めて集まった団体だったのだとわかり、そのことを多くの人に知らせたい、という思いを強くしました」(金田氏、以下同)

 週刊文春の報道に、千乃正法の会員らは当初、「カルト宗教とはひどい言い草だ」と感じたという。彼らは自分たちをカルト宗教の信者とは思っていなかったのだ。

「ワゴン車での移動は1991年に始まり、長年、移動を続けていたキャラバン隊員はテレビを見ていなかったので、当時、何が何だかわからないうちにいきなりマスコミが群がってきた、と当惑したそうです。家族に内緒で参加していた一時ボランティアの会員は家族とトラブルになったり、自宅に帰れなくなったり、ということもありました」

関連キーワード

関連記事

トピックス

小室圭さんの“イクメン化”を後押しする職場環境とは…?
《眞子さんのゆったりすぎるコートにマタニティ説浮上》小室圭さんの“イクメン”化待ったなし 勤務先の育休制度は「アメリカでは破格の待遇」
NEWSポストセブン
女性アイドルグループ・道玄坂69
女性アイドルグループ「道玄坂69」がメンバーの性被害を告発 “薬物のようなものを使用”加害者とされる有名ナンパ師が反論
NEWSポストセブン
遺体には電気ショックによる骨折、擦り傷などもみられた(Instagramより現在は削除済み)
《ロシア勾留中に死亡》「脳や眼球が摘出されていた」「電気ショックの火傷も…」行方不明のウクライナ女性記者(27)、返還された遺体に“激しい拷問の痕”
NEWSポストセブン
当時のスイカ頭とテンテン(c)「幽幻道士&来来!キョンシーズ コンプリートBDーBOX」発売:アット エンタテインメント
《“テンテン”のイメージが強すぎて…》キョンシー映画『幽幻道士』で一世風靡した天才子役の苦悩、女優復帰に立ちはだかった“かつての自分”と決別した理由「テンテン改名に未練はありません」
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
《ヤクザの“ドン”の葬儀》六代目山口組・司忍組長や「分裂抗争キーマン」ら大物ヤクザが稲川会・清田総裁の弔問に…「暴対法下の組葬のリアル」
NEWSポストセブン
1970~1990年代にかけてワイドショーで活躍した東海林さんは、御年90歳
《主人じゃなかったら“リポーターの東海林のり子”はいなかった》7年前に看取った夫「定年後に患ったアルコール依存症の闘病生活」子どものお弁当作りや家事を支えてくれて
NEWSポストセブン
テンテン(c)「幽幻道士&来来!キョンシーズ コンプリートBDーBOX」発売:アット エンタテインメント
《キョンシーブーム『幽幻道士』美少女子役テンテンの現在》7歳で挑んだ「チビクロとのキスシーン」の本音、キョンシーの“棺”が寝床だった過酷撮影
NEWSポストセブン
女優の趣里とBE:FIRSTのメンバーRYOKIが結婚することがわかった
女優・趣里の結婚相手は“結婚詐欺疑惑”BE:FIRST三山凌輝、父の水谷豊が娘に求める「恋愛のかたち」
NEWSポストセブン
タレントで医師の西川史子。SNSは1年3ヶ月間更新されていない(写真は2009年)
《脳出血で活動休止中・西川史子の現在》昨年末に「1億円マンション売却」、勤務先クリニックは休職、SNS投稿はストップ…復帰を目指して万全の体制でリハビリ
NEWSポストセブン
“凡ちゃん”こと大木凡人(ぼんど)さんにインタビュー
「仕事から帰ると家が空っぽに…」大木凡人さんが明かした13歳年下妻との“熟年離婚、部屋に残されていた1通の“手紙”
NEWSポストセブン
太田基裕に恋人が発覚(左:SNSより)
人気2.5次元俳優・太田基裕(38)が元国民的アイドルと“真剣同棲愛”「2人は絶妙な距離を空けて歩いていました」《プロアイドルならではの隠密デート》
NEWSポストセブン
『ザ・ノンフィクション』に出演し話題となった古着店オーナー・あいりさん
《“美女すぎる”でバズった下北沢の女子大生社長(20)》「お金、好きです」上京1年目で両親から借金して起業『ザ・ノンフィクション』に出演して「印象悪いよ」と言われたワケ
NEWSポストセブン