突如現れた大谷キラーのヨナ・ハイム
レンジャーズにはピッチャー大谷さんの天敵も存在します。2022年、最も大谷さんを攻略した選手と言えば、レンジャーズのヨナ・ハイムでしょう。
衝撃的だったのは、開幕直後の4月14日、大谷さんが2敗目を喫した試合です。エンゼルスが2点リードの2回、1死満塁から真ん中に入ってきたスプリットを捉えられ、弾丸ライナーで右翼席へ運ばれました。逆転満塁ホームラン。大谷さんにとっては、キャリアで初めて満塁弾を浴び、決め球のスプリットも初めてホームランにされました。
メジャー3年目のハイムには申し訳ありませんが、「たまたまでは?」とも思われたものの、その後の対戦でも「大谷キラー」として立ちはだかります。2021年までは6打数無安打だったのに対し、2022年は8打数6安打の打率7割5分、ホームラン1本、7打点と打ちまくったのです。中にはラッキーなポテンヒットもあったとはいえ、運も実力のうち。奪三振の多い大谷さんから、ヒットゾーンに飛ばす確率が高かっただけでも、ハイムの技術の高さがわかります。左右両打ちの強打者は、大谷さんから初のグランドスラム(満塁弾)を打った試合後、謙虚にこう話しました。
「いったん、打席を外して気持ちを落ち着かせたんだ。スプリットが落ちなくて、打ててラッキーだったし、いいスイングができた。才能ある投手からグランドスラムを打てたことは特別。エキサイティングだったね」
大谷さんより1つ年下の、何か“持っている”男。2022年には、なんとMLB史上初の2試合連続サヨナラホームランをマークしています。
大谷さんのファンから「大谷キラー」と名付けられたハイムですが、謙虚な姿勢は変わりません。
「彼がスーパースターなのは誰もが知っていることだけど、出場した時には誰が投手であろうと、ベストを尽くすだけだよ」と冷静に話しながらも、大谷さんから「好打者」と褒められたことを知ると、「彼からの言葉であれば、素晴らしいことだね。感謝しているよ」とうれしそうな笑顔を見せていました。
レンジャーズにはもう1人、手強いライバルが存在します。左のスラッガー、ナサニエル・ローです。2022年は打率3割2厘、ホームラン27本、76打点で打線を引っ張り、一塁手としてシルバー・スラッガー賞に輝きました。大谷さんとの対戦成績は16打数6安打の打率3割7分5厘、ホームラン2本、4打点と相性がよく、ハイムの成績と合わせると通算30打数12安打の打率4割、ホームラン3本、11打点と2人で大谷さんを攻略しています。