終演後、ジョニーの肩にもたれかかる羽生(写真はプロスケーター

終演後、ジョニーの肩にもたれかかる羽生(写真はプロスケーター・宮原知子さんのインスタより)

ジョニーの振り付けでリスペクトを示した

 トラブルに見舞われながらも、無事に迎えたFaOI神戸公演の最終日。彼らの最初の出会いもまた、2010年の「FaOI」であった。

「ジョニーはオリンピックや世界選手権での優勝はありませんが、独自の世界観と美しく繊細な演技で多くのファンを魅了してきました。羽生さんにとっても幼い頃からの憧れの存在です。一方、ジョニーも羽生さんの才能には早くから注目していました。2010年3月に行われた世界ジュニア選手権で羽生さんが初優勝したときの演技を見て、“14才でありながら自分のスタイルを持っている。すでにアーティスト”と驚いたそうです」(前出・フィギュアスケート関係者)

 そして迎えたシニア1年目の2010-2011年シーズン。羽生はフリープログラム『ツィゴイネルワイゼン』の衣装をジョニーに依頼し、2013-2014年のフリープログラム『ロミオとジュリエット』の衣装もジョニーが担当している。

「羽生さんと彼との関係は衣装だけではありません。羽生さんはジョニーの演技について“中性的な美しさ”があると言い、お手本にもしていました。スピンのときの手の添え方など、柔らかい表現に気を配るきっかけになったと話していたこともあります」(前出・フィギュアスケート関係者)

 その後の羽生の快進撃は、ジョニーとともにあったと言っても過言ではない。ジョニーが担当した衣装をまとって迎えた2014年のソチ五輪では、アジア人初となる金メダルを獲得。2018年の平昌五輪で連覇を達成し、「史上最高のスケーター」と称されるまで上り詰めた。

「目標だった五輪2連覇を達成した後、羽生さんは燃え尽き症候群になりかけたことがありました。そんななか、彼が“心から滑りたい”と2018-2019年、2019-2020年前半シーズンのショートプログラムに選んだのはジョニーの代名詞とも言える楽曲『Otonal(秋によせて)』でした」(前出・フィギュアスケート関係者)

 FaOI2023の最終公演。フィナーレを迎え、興奮冷めやらぬ会場で羽生が披露したのが、『Otonal(秋によせて)』だった。

「この日の振り付けを見て、多くの観客は『あれ?』という顔をしていました。スピンの際の手の運び方、氷に触れてそのまま口に手を当てる仕草……羽生さんはこのプログラムを、自分の振り付けではなく現役時代のジョニーの振り付けで滑ったのです。それは、最上級のリスペクトの示し方。まさに最愛のジョニーに捧げる演技でした」(前出・フィギュアスケート関係者)

 ジョニーは今秋から自身の名前を冠したスケートアカデミーのコーチに専念する予定だという。次のステージへと進む恩師との別れを乗り越え、羽生はさらなる高みを目指す。

※女性セブン2023年7月20日号

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