だが現在、自宅にその面影はない。
「今年に入ってから玄関周りにゴミが多く散乱するようになり、宅配の配達員が驚いていたようです。妻は家の中を見られたくなかったのか、配達員への応対では玄関の隙間をできるだけ小さく開けていたそうです」(前出・地元メディア記者)
近隣住民が、その不穏な変化を語る。
「旦那さんはなぜか毎日のように、自宅の玄関先でカップラーメンやコンビニの弁当を立って食べていました。現役の精神科医で、あんなに立派なご自宅なのに……。また、家の前に気味が悪いほどクーラーボックスが無造作に積まれていて、物置のようになっていますが、釣りが趣味とは聞いたことがなく、ちょっと謎な感じでした。家庭菜園を楽しんでいたようですが、家庭菜園をするのにそんなにたくさんのクーラーボックスは必要ありませんよね」
前出・捜査関係者は、こう推測する。
「事件前、被害男性が一家の住む自宅に押し掛けたことがあるそうです。父親が玄関先や自宅前の車で食事していたのは、再び彼が自宅に押し掛けてくるのを警戒しての行動だったとみられています。娘に会いにくる被害男性から、守ろうとしたのでしょう」
別の捜査関係者は、そもそも犯行を計画したのが父親だった可能性を指摘する。
「父親は、取り調べに『被害者が一度解決していたトラブルを蒸し返して逆ギレしてきた』とも話しているそうです。犯罪を起こす意思、つまり犯意は父親が中心とみている。
犯意は父親にあるが、実行したのは娘ということです。しかし娘は判断能力や責任能力を問うことが難しい状況で、公判請求されない可能性も十分あることから、措置入院になるかもしれません。父親が実行犯となれば、娘の生活を支えていくことが困難になると危惧して、あえて娘を実行犯にする計画を父親が考えたのではないかとみています」
歪んだ家族愛が凶行に繋がってしまったのか。
※週刊ポスト2023年8月11日号