ビジネス

超大粒の石川県産ブドウ「ルビーロマン」 初競りで1房160万円がついた“食べる宝石”の秘密

初競りには石川県内の生産者6戸から148房が出品された。今年の生産者は112戸(約10.5ヘクタール)

初競りには石川県内の生産者6戸から148房が出品された。今年の生産者は112戸(約10.5ヘクタール)

 2008年に市場デビューした、石川発の希少ブドウ「ルビーロマン」。1粒が巨峰の2倍にもなる“宝石のような果実”が育てられる現場を訪ねた。

“宝石にいちばん近い果実”と冠される石川県産高級ブドウ「ルビーロマン」の今年の初競りが7月14日、金沢市中央卸売市場で行なわれ、1キロの1房が過去最高値の160万円で競り落とされた。過去最高だった昨年より10万円高い値に、どよめきと拍手が沸き起こった。

 最高値で落札されたルビーロマンは、1粒の重さが30グラム以上の等級「特秀Gクラス」。1キロのルビーロマンが初競りに出荷されたのは初めて。33粒の実が付き、1粒当たり約4万8500円となる。地元の青果会社「堀他」が競り落とし、台湾で富裕層向け高級スーパー3店舗を経営する「裕源」の謝明達社長(68)が購入した。同社長は「決して高いと思わない。農家の方、関係者の方みんなの努力を考えれば、160万円は安いんじゃないかなと思います」と話した。この日は計12房を総額約250万円で購入。

「すべてお客様が決まっています。こんなに大きく均等な粒と色、品質、香り、食感は世界一ではないでしょうか。タイや香港からの注文もあります」と絶賛した。

県内の生産者だけが栽培できる希少ブドウ

 ルビーロマンは石川県農林総合研究センター農業試験場砂丘地農業研究センターが14年間かけて開発し、2023年、市場デビューから16年目を迎えた。巨峰の約2倍になる粒の大きさは国内品種トップレベル。鮮やかな紅色、さわやかな甘味、ジューシーで酸味が少ないのが特長だ。

 検査員が審査し、色、形、糖度(18度以上)、重さ(1粒20グラム以上)など厳格な基準をすべてクリアしたものだけがルビーロマンと認められて出荷される。契約を結んだ県内の生産者のみが栽培できる。県内のブドウ園を訪れて取材をすると、栽培の難しさ、気が遠くなるような手間と徹底した管理に驚いた。県砂丘地農業研究センター研究主幹の田村茂之氏が説明する。

「花が満開になった後、概ね90日で出荷となります。粒を大きく、房の形を美しくするために成長段階で余分な粒を切り落とす摘粒作業や房づくりが出荷直前まで続きます。仕上がりの房をイメージして調整する経験とセンスが求められます」

 出荷は9月末まで続き、今年は昨年より6000房多い3万房を目指す。

撮影/小倉雄一郎 取材・文/上田千春

※週刊ポスト2023年8月11日号

関連記事

トピックス

大谷翔平の最新ヘアスタイル
【爽やか新ヘアの裏側】大谷翔平をカットしたのは“美容師界の東大”有名サロンの海外1号店だった 真美子夫人と一緒に“ヘアカットデート”
女性セブン
田村瑠奈被告
【戦慄の寝室】瑠奈被告(30)は「目玉入りのガラス瓶、見て!」と母の寝床近くに置き…「頭部からくり抜かれた眼球」浩子被告は耐えられず ススキノ事件初公判
NEWSポストセブン
日本アカデミー女優のもたいまさこ
《人気女優・もたいまさこの現在》ドラマ『やっぱり猫が好き』から36年、目撃した激やせ姿「出演予定の作品なし」の引退危機
NEWSポストセブン
5月27日に膵癌のため76才で死去した今くるよさん(写真は2007年)
《追悼・今くるよさん逝去》弟弟子の島田洋七が明かした意外な素顔「マンションの壁をぶち抜き」「特注のステージ衣装を“姉妹”で150着」
NEWSポストセブン
ギリシャ訪問を無事終えられた佳子さま(時事通信フォト)
佳子さま、ギリシャ訪問時のファッション報道がフィーバー「北風と太陽」注目されるプリンセスの動向
NEWSポストセブン
日本中を震撼させた事件の初公判が行われた
【絶望の浴室】瑠奈被告(30)が「おじさんの頭持って帰ってきた」…頭部を見た母は「この世の地獄がここにある」 ススキノ事件初公判
NEWSポストセブン
愛子さま
愛子さま、近い立場で他愛のない話をできるのは佳子さまだけ 「どこのコスメを使われているのですか?」と真剣に相談も
女性セブン
容疑者
《ススキノ・ホテル殺人》初公判で判明した「瑠奈ファースト」な一家の歪み「母親が書いた奴隷誓約書」「父親はドライバーさん」
NEWSポストセブン
世界で活躍する真田
【全文公開】真田広之がサシ飲みでエール 俳優転身の次男・手塚日南人が明かす“知られざる離婚後の家族関係”
女性セブン
手指のこわばりなど体調不安を抱えられている(5月、奈良県奈良市
美智子さま「皇位継承問題に口出し」報道の波紋 女性皇族を巡る議論に水を差す結果に雅子さまは静かにお怒りか
女性セブン
高橋一生&飯豊まりえ
福山雅治&吹石一恵、向井理&国仲涼子、高橋一生&飯豊まりえ…「共演夫婦」の公私にわたる絶妙なパワーバランス
女性セブン
小学館が公表した「調査報告書」より抜粋
ドラマ『セクシー田中さん』脚本家の交代要請は妥当だったのか 小学館調査報告書のポイント
NEWSポストセブン