韓国国内のみならず、映画『G.I.ジョー』シリーズなどハリウッドでも活躍するイ・ビョンホン
韓ドラには日本人が好むすべての要素がある
そもそも『冬ソナ』が日本でウケた理由を、康さんは次のように説明する。
「1つは美男美女が織りなす純愛ラブストーリーであったこと。圧倒的な映像美、そして切なさを増す音楽。これらは古くから日本のドラマに多く見られたものですが、当時の日本ではあまり描かれておらず新鮮に映ったからだと思います」
また韓ドラを見て、どこか懐かしく感じるのは、韓ドラが少なからず日本のドラマや映画、音楽の影響を受けていることも大きいという。
「韓国は自国の文化を保護するため、1998年まではかつて統治されていた日本の映画やドラマ、音楽などの輸入を禁止していました。ただ、それは表向きの話。実はプサンでは密かに日本の番組を見ることができたため、わざわざ足を運んで見ていた韓国人もいたようです」
BTSとともに、世界中で人気のBLACKPINK(写真/getty=afp=jiji)
その後、日本の大衆文化が解禁されると、韓国ではそれまでにも増して日本の作品を見る機会が増えていく。
「以前から岩井俊二監督(60才)の影響力は絶大で、映画『Love Letter』(1995年)の劇中内のせりふ『お元気ですか』は、韓国国内で流行語になりました」
もう1つ、韓ドラが日本でウケた理由に、脚本の力があると康さんは言う。
「最初に、日本と韓国の脚本家の違いは何かといえば、韓国には才能を磨ける場所があるということがあげられます。
日本の脚本家はシナリオコンクールを経てデビューする人が多く、仮にデビューできても、次の仕事が約束されているわけでもなく、実績を積む場を見つけることが難しい。だから、いつの間にか消えていく人が少なくありません。
一方、韓国の場合は徒弟制度をとっており、大物脚本家に弟子入りし、5〜6年かけて脚本の極意を学びます。実力がついたら1〜2本作品を任され、人気が出たら何本も書きながら成長していく。だから、実力を開花させられる人が多いのでしょう」
※女性セブン2023年8月17・24日号