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【対談・岩井志麻子氏×比嘉健二氏】暴走族が走れない世の中で「バイクの音」と「だらしなさ」が日本を元気にする

岩井志麻子さんと比嘉健二さん

80年代の暴走族全盛期を語る

 レディース少女と雑誌編集者の30年前の青春の日々を描いた『特攻服少女と1825日』が話題を集めている。同書は第29回小学館ノンフィクション大賞受賞作。著者でレディース専門誌『ティーンズロード』の創刊者でもある比嘉健二氏と、『ティーンズロード』の熱心な読者だった作家・岩井志麻子氏が語り合った。【前後編の後編。前編から読む

 * * *
比嘉:中高時代とか、それこそ“ティーン”の頃はどんな子だったんですか? 暴走族は4万人を超えた1982年が全盛期だったといわれているんですが、岩井さんもちょうどその頃、高校生でしたよね。

岩井:確かにハイティーン・ブギになめ猫に横浜銀蝿と、ツッパリブームど真ん中でした。当時の写真を見ると、私を含めみんなくるぶし丈のスカートに聖子ちゃんカットで、いまその写真を見せるとみんなから「不良だったの?」って言われる(笑い)。でも、格好だけで暴走族に入っているような友達は、いなかったなぁ。

比嘉:あの頃は、竹の子族もブームでしたよね。

岩井:そうそう! 岡山でもサテン生地で派手な半纏を作ってみんなで踊ってましたよ。ホコ天がないから、文化祭が晴れ舞台。普段は校庭や誰かの家の庭に集まって練習して……牧歌的でしょ?

愛読者は全国におり、全盛期の発行部数は18万部

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比嘉:いやあ、意外ですね。ぼくからすると岡山って“ホンモノ”がいるっていう印象です(苦笑)。特に男の暴走族は結構多かったですね。

岩井:まあ確かに、思い返すと親しかった男の家族にガチにヤバいのがいたりもしましたね(苦笑)。なんちゅうか、岡山って根はすごく真面目なんですが、そこから少しはみ出ると一足跳びにめちゃくちゃ悪くなるんです。南米のエルサルバドルとかメキシコとか、一般市民かギャングやマフィアしかいない国と同じ。

比嘉:岡山は日本の南米ってことですか(笑い)。さらにそこから東京に出てきて日本一の歓楽街・新宿歌舞伎町にずっと住んでいらっしゃるんですよね。上京したての頃ってヤクザがたくさん練り歩いていた時代でしょう。怖くなかったんですか?

岩井:いや、むしろ興味深くていろいろ歩き回ってました。特にヤクザとマフィアの抗争があって「発砲率No.1」といわれていた喫茶店『パリジェンヌ』が本当にあるってことに興奮しました(笑い)。

比嘉:あの頃から街の雰囲気もいる人たちも、ずいぶん変わりましたよね。

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