5月中旬、深夜練習の送迎には家族が付き添った

深夜にマンションを出て、アイスリンクへと向かう羽生(2023年5月)

入籍発表後に家族で向かった場所

 ファンへの気持ちと同様に貫いたのが、地元・仙台への愛だった。羽生は姉がスケート教室に通い始めたことに影響を受け、4才のときにスケートを始めた。以来、海外に拠点を移した時期を除いて、常に生活の中心は仙台にあった。

「2011年の東日本大震災のとき、羽生さんは地元のスケート場で練習中でした。自宅も被災し避難所生活を余儀なくされ、ひとつのおにぎりを家族4人で分け合うほどだった。練習拠点を求めて全国を転々としながら、“こんな状況でスケートを続けていいのか”と悩んだこともあったといいます」(別のスケート関係者)

 だが、被災者にとって羽生の存在は、むしろ「希望」だった。熱心にチャリティーや被災者支援に取り組み、今年の3月にはアイスショー『notte stellata』を宮城県内で開催した。

「プロ転向後も、生活拠点は仙台です。これまでの競技会中心の生活と比べると、プロスケーターとしての活動は段違いに幅が広がります。アイスショーの全国展開に加え、イベントやメディアへの出演、関係者との打ち合わせのしやすさなどを考えると、交通の便がいい東京を拠点にするという選択肢もあったことでしょう。しかし、羽生さんは変わらず仙台での生活を続けています」(前出・別のスケート関係者)

 日々スケートの研鑽を積むのも、幼少期から変わらず「アイスリンク仙台」だ。入籍発表から1週間以上が過ぎた8月中旬にも、深夜にアイスリンクへ向かう羽生の姿があった。

「アイスリンク仙台は8月いっぱいまで一般営業を中止していますが、それでもアイスホッケーチームといった団体での利用は行われています。ほかの利用者と重ならないよう、深夜にスケートの練習をするという習慣は続いています」(前出・別のスケート関係者)

 練習場へ向かう羽生を乗せた車のハンドルを握るのは、決まって羽生の父だ。助手席には姉、後部座席に羽生と母が座る。冒頭に記した「億ション」の2部屋は、1つが両親と姉の、もう1つが羽生と新妻の愛の巣だ。

 羽生のスケート人生は、「母子の物語」と言っていい。ジュニア時代、試合の衣装はすべて母の手作りだった。羽生が出場するほぼすべての大会に帯同し、2012年に、羽生がブライアン・オーサーコーチに師事するためカナダ・トロントに移り住んだ際、一緒に異国に赴いたのは母だった。

「ある程度の年齢になると、試合は本人だけっていう選手が多いんですけど、羽生さんの場合は、お母さんがマネジャーであり、コーチであり、トレーナーでもありました。もちろん自分の親ですから、精神的安定を保てる存在だった。ただ、お母さんはスケートに集中させるために、昔は携帯電話を持つことを禁止していました。“目の届くところにいないとダメ”というお母さんの思いを、羽生さん自身は煩わしく感じたこともあったそうです」(フィギュア関係者)

 母の干渉は羽生の恋愛にまで及んだ。

「高校時代は、恋愛自体が禁止でした。早稲田大学入学後は交際相手のA子さんもいて、海外遠征が多い羽生さんの事情もあって成田空港の近くでデートをしたこともあったそうです。結婚を約束した相手もいて、お母さんに直談判したこともあったけど、当時は叶わなかった」(羽生の知人)

 このたび、羽生とゴールインを果たしたお相手は、そういった強固な“母子の結び付き”の内側に迎え入れられたことになる。

「相手は周囲が安心できる存在」

 入籍発表以降、お相手を巡る情報は錯綜した。

「かつて国民的グループに所属した元アイドルや、世界的に活躍するピアニストなどの名前がインターネット上で挙げられましたが、どれも噂の域を出ないものでした」(芸能関係者)

 そもそも、羽生の交際は関係者の中でも一部の人間にしか伝えられていなかった。

「発表後『チームゆづ』の関係者と連絡を取りましたが、“相手が一般人だとか、著名人だとか、元スケーターだとか、そういったことも含めて、一切明かさないと事前に決めていた”と話していました」(別のフィギュア関係者)

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