しかし、小林には特別な思いで慕い続ける監督がいる。1998年に公開された『学校III』に出演して以降、『たそがれ清兵衛』(2002年)、『武士の一分』(2006年)、『男はつらいよ お帰り寅さん』(2019年)、『キネマの神様』(2021年)など、小林は15年来の山田洋次監督(91)作品の常連役者だった。
「山田監督はある作品現場でベテランの小林さんの演技に何度もNGを出し続けたシーンがあったそうです。それまで小林さんは、 “仕事として役者で飯が食えりゃいい”と考えていたそうですが、山田監督の現場の空気を肌で感じて、自身の考え方を改めてさらに志を高く持つことを決めるきっかけになったそうです。
80歳を超えても精力的に現場でメガホンを握る山田監督を見て、小林さんは90歳まで演じ続けたいという夢を持っているそうです」(同前)
近々の出演予定作は発表されていないが、82歳となった名脇役・小林稔侍は、まだまだ役者道を突き進む。