スポーツ

阪神と中日の明暗を分けた指揮官の言葉 岡田監督「四球はヒットと一緒」、立浪監督「見逃し三振は許さない」

チームの明暗を分けた指揮官のスタンスの違い(阪神・岡田彰布監督=左と中日・立浪和義監督)

チームの明暗を分けた指揮官のスタンスの違い(阪神・岡田彰布監督=左と中日・立浪和義監督)

 18年ぶりのセ・リーグ優勝を果たした阪神と、最下位を走る中日の大きな違いは、四球と三振への意識の違いがあったのではないか。それは両チームの監督の言葉からもうかがえる。阪神躍進の最大の要因は、今季15年ぶりに復帰した岡田彰布監督の手腕にあったと言っていい。

「今季の阪神はリーグ1位の504得点を稼ぎ出しています(記録は9月14日現在。以下同)。しかし、巨人・岡本和真やDeNA・牧秀吾のようなパワーと確実性を備えた選手はいない。4番の大山悠輔は打率こそ2割8分0厘と及第点に見えますが、14本塁打と一発の怖さには欠けている。佐藤輝明は8月以降の活躍で20本塁打、78打点と数字を伸ばしましたが、今季は二軍落ちも経験するほど苦しみました。それでも得点力が高かったのは、岡田監督が選手に『フォアボールはヒットと一緒』と伝えた上に、球団に掛け合って、年俸を算出する際の四球の査定ポイントを上げたことが大きいのでは」(プロ野球担当記者。以下同)

 阪神のチーム打率は2割4分7厘でリーグ3位、本塁打は71本でリーグ5位。決して“打てるチーム”ではない。しかし、四球は452でリーグ1位。その影響もあって、出塁率も3割2分4厘でリーグ1位に。これが得点力を生む最大の原因になった。

「首位打者が打撃部門で最も価値の高いよう考えられていますが、点を取る上では出塁率の方が大事です。岡田監督の言葉でチーム全体に『フォアボールでもいい』という意識が浸透したため、得点力がアップした。監督の力がチームを浮上させました」

 一方、今季も最下位に沈んでいる中日はチーム打率2割3分8厘、本塁打62本ともにリーグ最下位。打力の弱さが低迷の大きな要因と考えられているが、優勝した阪神と比べると、打率は9厘、本塁打は9本しか変わらない。しかし、得点数は阪神の504に対し、中日は347と157点もの差が開いている。

「四球数が阪神の452に対し、中日は273しかない。それが出塁率の差につながっている。阪神は3割2分4厘、中日は2割8分8厘です。立浪和義監督が見逃し三振を嫌うため、中日の選手は追い込まれると、少々ボール球でも振りに行ってしまう。凡打になった打席でも、見逃せば四球になったケースも多々あります。

 凡打になれば打率は下がりますが、四球なら変わらない。ボール球を振りに行って調子を崩す場合もありますし、打率が下がっていけば精神状態も悪くなる。もし『根拠のある見逃し三振ならOK』という指示が出ていれば、選手は配球をもっと考えるようになるし、気持ちの上でも随分と楽になる。監督の言葉1つで、選手は大きく変わります」

 立浪監督は就任以来、見逃し三振に厳しい。昨年7月7日のDeNA戦で岡林勇希、石橋康太が延長戦で見逃し三振をすると、「見送り三振は駄目ですよね。バット持っているんだからね」と語った。9月12日の阪神戦でもA・マルティネスに対し、「見逃し三振は何も起こらない。追い込まれたら何とかバットに当てないと。見逃し三振はちょっと寂しい」とコメントしている。

 今年も6月25日のヤクルト戦で2つの見逃し三振をした石川昂弥に対し、「振って三振なら良いけど。あの辺(のボール)を振っていけるように、という反省を今日はしてもらいたい」と話した。

関連キーワード

関連記事

トピックス

近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
【エッセイ連載再開】元フジテレビアナ・渡邊渚さんが綴る近況「目に見なえい恐怖と戦う日々」「夢と現実の区別がつかなくなる」
NEWSポストセブン
『続・続・最後から二番目の恋』が放送中
ドラマ『続・続・最後から二番目の恋』も大好評 いつまでのその言動に注目が集まる小泉今日子のカッコよさ
女性セブン
事務所独立と妊娠を発表した中川翔子。
【独占・中川翔子】妊娠・独立発表後初インタビュー 今の本音を直撃! そして“整形疑惑”も出た「最近やめた2つのこと」
NEWSポストセブン
名物企画ENT座談会を開催(左から中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏/撮影=山崎力夫)
【江本孟紀氏×中畑清氏×達川光男氏】解説者3人が阿部巨人の課題を指摘「マー君は二軍で当然」「二軍の年俸が10億円」「マルティネスは明らかに練習不足」
週刊ポスト
田中圭
《田中圭が永野芽郁を招き入れた“別宅”》奥さんや子どもに迷惑かけられない…深酒後は元タレント妻に配慮して自宅回避の“家庭事情”
NEWSポストセブン
ニセコアンヌプリは世界的なスキー場のある山としても知られている(時事通信フォト)
《じわじわ広がる中国バブル崩壊》建設費用踏み倒し、訪日観光客大量キャンセルに「泣くしかない」人たち「日本の話なんかどうでもいいと言われて唖然とした」
NEWSポストセブン
ラッパーとして活動する時期も(YouTubeより。現在は削除済み)
《川崎ストーカー死体遺棄事件》警察の対応に高まる批判 Googleマップに「臨港クズ警察署」、署の前で抗議の声があがり、機動隊が待機する事態に
NEWSポストセブン
北海道札幌市にある建設会社「花井組」SNSでは社長が従業員に暴力を振るう動画が拡散されている(HPより、現在は削除済み)
《暴力動画拡散の花井組》 上半身裸で入れ墨を見せつけ、アウトロー漫画のLINEスタンプ…元従業員が明かした「ヤクザに強烈な憧れがある」 加害社長の素顔
NEWSポストセブン
趣里と父親である水谷豊
《趣里が結婚発表へ》父の水谷豊は“一切干渉しない”スタンス、愛情溢れる娘と設立した「新会社」の存在
NEWSポストセブン
米利休氏のTikTok「保証年収15万円」
東大卒でも〈年収15万円〉…廃業寸前ギリギリ米農家のリアルとは《寄せられた「月収ではなくて?」「もっとマシなウソをつけ」の声に反論》
NEWSポストセブン
SNS上で「ドバイ案件」が大騒動になっている(時事通信フォト)
《ドバイ“ヤギ案件”騒動の背景》美女や関係者が証言する「砂漠のテントで女性10人と性的パーティー」「5万米ドルで歯を抜かれたり、殴られたり」
NEWSポストセブン
“赤西軍団”と呼ばれる同年代グループ(2024年10月撮影)
《赤西仁と広瀬アリスの交際》2人を結びつけた“軍団”の結束「飲み友の山田孝之、松本潤が共通の知人」出会って3か月でペアリングの意気投合ぶり
NEWSポストセブン