当時人気のあったプリプリとSHOW-YAの共演は、大きな話題を呼び、初回は大きな成功を収めた。
「多くのメディアがこの2つのバンドを比較して、番組や誌面で取り上げてくれたお陰で話題性は充分でした。実は私たちはとても仲がよく、いろんなところに遊びに行ったり、飲みに行ったりして親交を深めつつ、切磋琢磨していたんです。特にプリプリは女性バンドの地位をグンと上げてくれましたからね。『NAONのYAON』の成功からは、レコード会社もいろんな女性バンドと契約するようになり、テレビ番組で人気を博したPINK SAPPHIREや関西出身の4人組TWIGGYなど続々と活躍するようになりました」
1991年、寺田はSHOW-YAを脱退。新たなボーカルを迎えたSHOW-YAがアメリカに進出したこともあり、『NAONのYAON』もこの年、休止することになる。
「脱退したのは体がキツくて限界を感じたからです。ただ、1995年に阪神・淡路大震災が起きたとき、やっぱり何かをしないといけないと思ってメンバーにバンドの再結成をもちかけたのですが、そのときは断られました。それ以降もずっとメンバーとは密に連絡をとっていて、ようやく2005年に再結成。『NAONのYAON』が再開できたのは2008年でした。このときは、“またここ野音で、みんなで力を合わせて頑張っていこう!”と誓い合いました」
そして17年ぶりの2008年4月に6回目が開催された。
晴れた日はお客さんの顔が見えて、最高です
「都心の公園の中にある野音は、ステージも客席にも屋根がないため、どうしても天候に左右されてしまいますが、そこがホールとの違いですね。天気がよければ、お客さんみんなの顔がはっきり見えるし、流れる雲を見ながら演奏する瞬間は格別で、気持ちよく演奏できます。ただ……私が出るときはなぜか天候不良のときが多いのですが(笑い)。雨が降るとお客さんとの不思議な一体感が生まれるんですよ。あれは野外ステージならではですね。とはいえ、雨が降ると楽器が傷んだりトラブルも起きやすいので、1か月前から天気予報を細かくチェックして、私は毎朝神社に行って『晴れますように』とお参りします。
お客さんはお金を出して見にきてくれる以上、雨でも最高のステージにしないといけないですからね。そのためにも全力で頑張る。それもいい思い出です」
【プロフィール】
寺田恵子/女性ロックバンド「SHOW-YA」ボーカル。1963年、千葉県出身。8枚目のシングル『限界LOVERS』は30万枚を超えるロングヒットを記録。現在、SHOW-YAの東名阪ツアー『39周年突入!THANK YOU!!TOUR』を実施中。
取材・文/廉屋友美乃
※女性セブン2023年9月28日号