国際情報

中国の共産党・政府職員にかかる費用を暴いた大学教授 「国家政権煽動転覆罪」で秘密裏に裁判、懲役4年半の実刑判決

中国共産党・政府職員の費用を暴いたところ

中国共産党・政府職員の費用を暴いた大学教授は逮捕され…

 貴州大学経済学部の楊紹政教授が、約2000万人とされる中国共産党・政府職員(公務員に相当)の給与や諸経費を調査し発表したところ、中国当局によって「国家政権煽動転覆罪」の容疑で秘密裏に逮捕され、非公開の裁判で懲役4年半の実刑判決を受けていたことが明らかになった。米国を拠点に活動している中国民主化グループ「対華援助協会」のウェブページ「CHINA AID」が報じた。

 楊氏の弁護団によると、楊氏は、約2000万人の中国共産党・政府職員が中国の納税者に対し、年間で推定20兆元(1元=約20円)の負担をかけていると計算した論文を学術誌に掲載した。

 その後、楊氏は2017年11月、突然、何の前触れもなく、貴州大学経済研究所教授を解任された。さらに、2年後の2019年11月、中国の秘密警察とされる国家安全省要員によって身柄を拘束され、取調室で手錠をかけられたまま、8時間にわたって尋問をされた。その後自宅に帰らず、家族にも行方も告げずに逃亡生活を送っていたという。

 しかし、2021年5月、楊氏は逃走先で秘密裏に逮捕され、半年間にわたって隔離拘禁された後、「国家政権煽動転覆罪」で起訴され、現在は貴陽第一監獄で服役中だ。上訴したものの、却下され刑が確定した。

 弁護団は今年3月、貴州省検察に行政告発状を提出し、楊氏が国家安全省要員によって「自白」を強要され、数回意識を失い、体重が約25キロも減ったと主張した。弁護団自体も当局から「この事件から早く手を引いた方が身のためだ」などとして、圧力を受けているという。

 ちなみに、最高指導者の習近平国家主席の年収は推定で約41万元とされているが、この額はあくまでも表向きに過ぎない。中国の場合、党政府職員(公務員)の住居費や被服費、あるいは食費、様々な交通費などは国家から別途支給されるが、明らかになっていない。また、中国が公表している国家予算や国防費についても実態を反映していないとの指摘は多い。

関連キーワード

関連記事

トピックス

全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる
JR東日本はクマとの衝突で71件の輸送障害 保線作業員はクマ撃退スプレーを携行、出没状況を踏まえて忌避剤を散布 貨物列車と衝突すれば首都圏の生活に大きな影響出るか
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《全国で被害多発》クマ騒動とコロナ騒動の共通点 “新しい恐怖”にどう立ち向かえばいいのか【石原壮一郎氏が解説】
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
NEWSポストセブン
“ポケットイン”で話題になった劉勁松アジア局長(時事通信フォト)
“両手ポケットイン”中国外交官が「ニコニコ笑顔」で「握手のため自ら手を差し伸べた」“意外な相手”とは【日中局長会議の動画がアジアで波紋】
NEWSポストセブン
11月10日、金屏風の前で婚約会見を行った歌舞伎俳優の中村橋之助と元乃木坂46で女優の能條愛未
《中村橋之助&能條愛未が歌舞伎界で12年9か月ぶりの金屏風会見》三田寛子、藤原紀香、前田愛…一家を支える完璧で最強な“梨園の妻”たち
女性セブン
土曜プレミアムで放送される映画『テルマエ・ロマエ』
《一連の騒動の影響は?》フジテレビ特番枠『土曜プレミアム』に異変 かつての映画枠『ゴールデン洋画劇場』に回帰か、それとも苦渋の選択か 
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン
ラオスを公式訪問されている天皇皇后両陛下の長女・愛子さまラオス訪問(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《何もかもが美しく素晴らしい》愛子さま、ラオスでの晩餐会で魅せた着物姿に上がる絶賛の声 「菊」「橘」など縁起の良い柄で示された“親善”のお気持ち
NEWSポストセブン