「もう1度みんなで集まりたい」
X JAPANは、幼なじみのYOSHIKIとToshlの2人で結成されたバンドだ。1989年にメジャーデビューすると、瞬く間に大ブレークした。人気絶頂の1997年にToshlが洗脳騒動で脱退したときに解散したが、2007年に再結成。だが、“健全なバンドのカタチ”からはかけ離れた状態が続いている。
「X JAPANは各メンバーが個別にYOSHIKIさんが統括する会社と契約するという、バンドとしては異例の形をとっていました。
ただ再結成後の活動を続けるなかで、ギャランティーの未払いなどのトラブルが頻発しました。YOSHIKIさんとメンバーの間で何度も話し合いがもたれたのですが、一向に改善されなかった。ToshlさんはYOSHIKIさんの対応に納得できず、2017年を最後に契約を更新していません。
そのため、2018年に開催されたコンサートを最後にバンドとしての活動はなく、2人はここ5年間、一度も顔を合わせていない。やりとりは弁護士を介して行われています」(前出・音楽関係者)
今年7月、YOSHIKIは2014年にレコーディングした楽曲『Angel』をアレンジし、X JAPANの8年ぶりの新曲としてリリースした。
「YOSHIKIさんがメンバーに新曲のリリースを報告したのは、情報解禁の数日前でした。しかも伝達手段はメールで、“『Angel』を出します”という一方的な内容だったそうです」(前出・芸能関係者)
X JAPANの名前を掲げて活動するYOSHIKIに対し、ほかのメンバーはバンド活動とは距離を置きソロ活動を続けてきた。近年では、YOSHIKIとToshlだけでなく、ほかのメンバー同士にも溝が生まれていたという。
こうした現状でもHEATHさんだけは、「もう一度みんなで集まりたい」と周囲に漏らしていた。だが、その願いは誰もが想像し得ない形で潰えた。HEATHさんには酷なことだが、彼の死によって、メンバー間の亀裂は永遠のものとなってしまったかもしれない。
冒頭、YOSHIKIがHEATHさんと対面した数時間前、その施設の安置室にはToshlの姿があった。
「HEATHさんの前で、2人が5年ぶりに再会することもありえました。ですが、メンバー同士がバッティングしないように、対面時間が細かく管理されていました。誰がどの時間に行くか、関係者らが“睨み合い”ながら決めたようです。バンドの潤滑油だったHEATHさんが亡くなったことで、X JAPANの活動再開は叶わないかもしれません。追悼公演も考えられない状況です」(前出・芸能関係者)
11月6日、HEATHさんは多くの仲間に見送られながら荼毘に付された。その輪のなかに、YOSHIKIとToshlの姿はなかった──。
※女性セブン2023年11月23日号