馳浩・石川県知事(時事通信フォト)

馳浩・石川県知事(時事通信フォト)

「国対とかですね」

 河村氏は馳知事の発言について、「明かし方がマズイ」と語る。

「そもそも報償費は、国益上必要だけどあまり大っぴらには言わないほうがいいような案件に使うものです。その趣旨から言って、IOC委員へのお土産にアルバムを作って渡すということは、IOCの規程に触れるかどうかはともかく、報償費の使い方としては本来の目的にかなっていると言えます。だから馳さんも気軽に話したのでしょう。

 しかし、五輪の招致では色々と裏金が使われたと言われ、汚職にも発展しています。そこでああいう話をすると、『アルバムだけじゃなくて現金も渡したんだろう』と、いらぬ勘繰りをされてしまう。なのに自分の手柄話としてああいう形で大っぴらにするのは少しマズイですよね。そして言ってしまったわけだから、それを今さら『発言撤回』というのも取るべき態度じゃない。政治家の発言は重いわけですから」

 そもそもどのような流れで使われるものなのか。

「天皇陛下に奏上した時の発言と、報償費の使い途、この2つについては口外しないというのが歴代官房長官の不文律だ。だからあまり詳しいことは話せませんが、一般論として言えば、報償費というのは年間約10億円あります。それを毎月1億円ほど、内閣総務官が引き出して官房長官室の金庫にしまう。そこから官房長官が引き出して様々な用途に使う。

 歴代官房長官から引き継がれる使い途というのがあります。私の場合は町村(信孝)さん(福田康夫内閣の官房長官)から、『あそことあそこに、いつ頃このくらいの額を渡してくれ』という具合に引き継ぎを受けた」

 以下、一問一答で記す。

──どんなところに渡したんでしょうか?

「それは言えません(苦笑)。でも歴代長官も言われていて、想像がつきそうなところで言うと、国対(国会対策委員会)とかですね」

──昔から野党対策に使われると言いますよね。

「まあそんなところです」

──麻生内閣の後は政権交代で民主党政権ですよね。民主党の官房長官にもそれを引き継いだ?

「自民党がどこにどう使ったかなんて言うワケないだろ。でも民主党政権が終わって第2次安倍政権ができた時には、私から菅(義偉)さんに引き継ぎました」

──官房長官は言わば「金庫番」の役回り。その使い途を決めるのは誰なんでしょうか?

「麻生内閣は首相自ら色々と仕切るタイプだったから、彼からよく指示があった。あそことあそこに(機密費を)渡してくれと。首相官邸の内部に首相の執務室と官房長官室を直接結ぶ通路があります。官邸詰めの記者たちに見えないところを通って行き来する。そこを通って頻繁に会っていた。そのくらい密接に意思の疎通を図らないと、官房長官は務まりません」

関連キーワード

関連記事

トピックス

2011年に放送が開始された『ヒルナンデス!!』(HPより/時事通信フォト)
《日テレ広報が回答》ナンチャン続投『ヒルナンデス!』打ち切り報道を完全否定「終了の予定ない」、終了説を一蹴した日テレの“ウラ事情”
NEWSポストセブン
青森県東方沖地震を受けての中国の反応は…(時事通信フォト)
《完全な失敗に終わるに違いない》最大震度6強・青森県東方沖地震、発生後の「在日中国大使館」公式Xでのポスト内容が波紋拡げる、注目される台湾総統の“対照的な対応”
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の高場悟さんに対する”執着”が事件につながった(左:共同通信)
《名古屋主婦殺害》「あの時は振ってごめんねって会話ができるかなと…」安福久美子容疑者が美奈子さんを“土曜の昼”に襲撃したワケ…夫・悟さんが語っていた「離婚と養育費の話」
NEWSポストセブン
卓球混合団体W杯決勝・中国-日本/張本智和(ABACA PRESS/時事通信フォト)
《日中関係悪化がスポーツにも波及》中国の会場で大ブーイングを受けた卓球の張本智和選手 中国人選手に一矢報いた“鬼気迫るプレー”はなぜ実現できたのか?臨床心理士がメンタルを分析
NEWSポストセブン
数年前から表舞台に姿を現わさないことが増えた習近平・国家主席(写真/AFLO)
執拗に日本への攻撃を繰り返す中国、裏にあるのは習近平・国家主席の“焦り”か 健康不安説が指摘されるなか囁かれる「台湾有事」前倒し説
週刊ポスト
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
週刊ポスト
優勝パレードでは終始寄り添っていた真美子夫人と大谷翔平選手(キルステン・ワトソンさんのInstagramより)
《大谷翔平がWBC出場表明》真美子さん、佐々木朗希の妻にアドバイスか「東京ラウンドのタイミングで顔出ししてみたら?」 日本での“奥様会デビュー”計画
女性セブン
パーキンソン病であることを公表した美川憲一
《美川憲一が車イスから自ら降り立ち…》12月の復帰ステージは完売、「洞不全症候群」「パーキンソン病」で活動休止中も復帰コンサートに懸ける“特別な想い”【ファンは復帰を待望】 
NEWSポストセブン
「交際関係とコーチ契約を解消する」と発表した都玲華(Getty Images)
女子ゴルフ・都玲華、30歳差コーチとの“禁断愛”に両親は複雑な思いか “さくらパパ”横峯良郎氏は「痛いほどわかる」「娘がこんなことになったらと考えると…」
週刊ポスト
話題を呼んだ「金ピカ辰己」(時事通信フォト)
《オファーが来ない…楽天・辰己涼介の厳しいFA戦線》他球団が二の足を踏む「球場外の立ち振る舞い」「海外志向」 YouTuber妻は献身サポート
NEWSポストセブン
海外セレブも愛用するアスレジャースタイル(ケンダル・ジェンナーのInstagramより)
「誰もが持っているものだから恥ずかしいとか思いません」日本の学生にも普及する“カタチが丸わかり”なアスレジャー オフィスでは? マナー講師が注意喚起「職種やTPOに合わせて」
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「旧統一教会から返金され30歳から毎月13万円を受け取り」「SNSの『お金配ります』投稿に応募…」山上徹也被告の“経済状況のリアル”【安倍元首相・銃撃事件公判】
NEWSポストセブン