派閥のパーティー自粛が発表された当日に開かれた中谷真一議員の政治資金パーティーの会場
〈さて、今僕はどんなところで飲んでいるかというと、お気に入りの場所がある。仕事で多勢の方と会い、家に帰る。冷蔵庫から缶ビールを取り出す。十年程前は、まだヨチヨチ歩きの娘が「パパ、どうじょ」と注いでくれるのが楽しみだったが、今は見向きもされない。リビングを抜けて裏庭に出る(別に前庭がある訳ではない)。三方を隣家に囲まれていて、目の前に塀がある。狭い庭だ。「うちの庭は猫の額で」と言う人の家の庭は結構広かったから、僕の家のそれは「カナリアの額」以下だと思う。そこに小さなテーブルと椅子が置いてある。椅子に深く座ってビールのプルトップを引く。リビングから洩れてくる明かりの中で唯一開けている空を見る。〉
そんな松野氏が岸田内閣の官房長官に就任してからは、人が変わったようになったという。前出の安倍派中堅議員の話だ。
「官房長官として権力の中枢を握ってからは、見違えるように自信たっぷりになった。『安倍派5人衆』と呼ばれるようになり、派閥の後継会長候補への野心も芽生えたのではないか」
安倍派の後継者レースに勝つには、資金力が必要だ。資金集めに走ったのも、にわかに芽生えた野心ゆえだったのかもしれない。
だが、官房長官失脚でそれも一夜の夢と消えた。