尹錫悦大統領に対して損害賠償を求める裁判を起こした邊熙宰氏(撮影/赤石晋一郎氏)

尹錫悦大統領に対して損害賠償を求める裁判を起こした邊熙宰氏

 記事は大きな波紋を呼び、タブレットへの疑義に対する世論が沸騰した。そこで検察は釈明のため第2タブレットの存在を明らかにし、崔順実氏の親族から任意で提出されたものだと説明した。崔順実氏が様々なタブレットを使いこなしていたことを明らかにすることで疑義を払拭しようとしたのだ。

 そうしたなかで、衝撃的な事件が起こる。2018年5月、JTBCに対する名誉棄損罪で邊氏が身柄拘束されたのだ。12月には彼の同僚である黄意元氏も身柄拘束され、2人はソウル拘置所に送られた。中国やロシアならいざ知らず、先進国においてジャーナリストが身柄拘束されるのは異常事態というほかない。

「私は口封じのために身柄拘束されたのだと思います。なぜかというとタブレットのデッチあげに検察も加担していたからです。拘束中に検察からは『タブレットは崔順実のものだと認めれば釈放する』とも持ち掛けられましたが、私は間違っていないと確信していたので拒否しました」(邊氏)

追放劇で検事総長に

 当時、尹錫悦氏は文在寅政権のもとソウル中央地検地検長、検察総長へと出世階段を駆け上がっていく真っ最中にあった。一審判決では邊氏に懲役2年、黄氏に懲役1年の実刑判決が下された。邊氏は政治犯などが収容される独房に入れられ、黄氏は詐欺犯らが入る6人部屋で拘置所生活を送る羽目となったのだ。

「私は1年間、黄氏は半年間を拘置所で過ごし、保釈中の身です。現在は控訴し二審で争っているところです。裁判では数多くの証拠を閲覧できる。それらを分析していくうちに、朴槿恵を失墜させた崔順実ゲートで尹氏らが捏造捜査を行なっていたと確信できる物証を数多く入手することができたのです」(同前)

 邊氏とともに疑惑を追った黄氏が解説する。

「タブレットの契約時から3か月間、通信料金は未納になっており、キム・ハンス氏が自身のクレジットカードで料金を一括払いしていた。つまりタブレットはずっとキム・ハンス氏個人のものだったということです。さらにタブレット契約を行なったSKテレコムの契約書を確認すると、証拠捏造の痕跡まで見つかりました」

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