黄氏によると、SKテレコムの契約書には複数の筆跡が存在するという。
「契約書を調べるにあたり、行政書類などからキム・ハンス氏の筆跡鑑定を行ないました。すると契約書のなかに同氏の筆跡と、別人の筆跡があることがわかった。タブレットの使用者が崔順実氏だというシナリオ維持のため、検察がSKテレコムの契約書を改ざん、捏造していた疑いがあるのです」(黄氏)
これらの証拠捏造は尹氏の立身出世のために行なわれたのではないか、というのが邊氏と黄氏の見解である。邊氏が語る。
「タブレット疑惑を払拭するために、検察は第2タブレットの存在を明かしましたが、このタブレットも押収後に操作されていたことが韓国サイバーフォレンジック専門協会(KCFP)の鑑定で明らかになっている。こちらにも疑義があるのです。そもそも当時60代だった崔順実氏が複数のタブレットを使いこなすということは考えにくく、タブレット内には家族写真など彼女のものであることを示すデータも一切ない。これらの物証が指し示すのは、捜査は捏造されたものであったということなのです」
崔順実ゲート捜査は一官僚に過ぎなかった尹氏の将来を大きく変えた。文在寅政権では右派追放の実績を買われ、尹氏は検事総長に任命される。
その後、保守系大統領候補にまで上り詰め、2022年の大統領選挙を経て最高権力の座を手に入れたのだ。