芸能

「枕元にスーツ常備」「披露宴の司会中に呼び出し」 吉川美代子×渡辺真理×木村郁美が語る局アナ時代の激務

いつ呼び出されてもいいようスーツを枕元に置いて寝ていたという吉川美代子アナ

当時はいつ呼び出されてもいいようスーツを枕元に置いて寝ていたという吉川美代子アナ

『news23』『サンデーモーニング』『報道特集』……「報道のTBS」という看板を背負うテレビ局で、アナウンサーを務めてきた吉川美代子さん、渡辺真理さん、木村郁美さんの3人が集結。当時の思い出を語る。【全3回の第2回。第1回から読む

 * * *
吉川:私のキャスター時代前半は、何かあるとポケベルで呼び出し。特に昭和天皇が崩御される前の何か月かは「休みでもポケベルが鳴ってから2時間以内で駆け付けられるように」なんて言われていましたね。

 もっとも覚えているのは湾岸戦争の“砂漠の嵐作戦”という地上戦が始まった時。私、同期の政治部記者の結婚披露宴の司会をしていたんです。1時間ほど過ぎたところで来賓の官邸関係者が次々と呼び出されて居なくなった。何かあったんだなと思っていたら私にも「特番やるから、すぐに来い」と連絡が入って。招待客の中に有力政治家のベテラン秘書の女性がいらしたので“仕切りも慣れているだろう”とバトンタッチして局へ飛んでいきました。

渡辺:そんなことがあったんですね。

吉川:私はいつ呼び出されてもいいように、必ずチャコールグレーや黒に近いスーツを枕元に置いて寝ていましたが、まさか披露宴の最中とは(笑)。

──アナウンサーは社歴を重ねると、様々な業務を課せられますけれど、アナウンサー志望の学生の採用も担当しますよね。

吉川:やりましたよ~。真理ちゃんのことも郁美ちゃんのことも一次面接の時から『この子だ!』と確信してずっと気にかけていました。当時は1人とか2人とかの採用に対し、2500名ほどの学生が押しかけてきた時代。朝から晩まで面接をしている中で、2人は目の輝きや笑顔が図抜けていたんです。

渡辺:面接官が吉川さんでなければ受かってなかったかも。面接ブース正面に、ビビッドなジャケットを肩から羽織った姿、忘れないです!

吉川:私の時は9年ぶりの女性アナウンサーだったということもあって、カメラテストとは別に音声テストもじっくり30分ぐらいありました。“声の好感度”というのもあるんですよ。ただ、1988年以降、いわゆる“女子アナブーム”とか“アナドルブーム”が起きて、人事から「華のある人を選んでくれ」と言われました。まぁ、その意味でも真理ちゃんや郁美ちゃんは申し分ないんですけれどね。

渡辺:いやいや~、吉川さんが入社された頃の写真を拝見してますけど、それはキラッキラですよ。

木村:先日もネットニュースでセーラー服をお召しの画像を見せていただきましたけれど、全く違和感ナシでした。記事に「TBSの松坂慶子」って書いてありましたよ。

吉川:違うわよ、当時ラジオ番組でご一緒していた大沢悠里さんからは「TBSの松阪牛」って毎週言われてたんだから。

渡辺・木村:(爆笑)

第3回へ続く

【プロフィール】
吉川美代子(よしかわ・みよこ)/1954年5月8日生まれ。1977年、TBSに入社。『JNNおはようニュース&スポーツ』で初の女性キャスターとして活躍した。またTBSアナウンススクールの校長を12年間務めており、後進の育成にも奔走。

渡辺真理(わたなべ・まり)/1967年6月27日生まれ。1990年、TBSに入社。2年目にして『モーニングEye』を担当し、1996年には『筑紫哲也 NEWS23』を担当。

木村郁美(きむら・いくみ)/1973年1月19日生まれ。1996年、TBSに入社。『はなまるマーケット』や『チューボーですよ!』などに出演しつつ、『JNNフラッシュニュース』などでニュースにも携わる。

司会・構成/山田美保子(放送作家) 撮影/平野哲郎

※週刊ポスト2023年12月22日号

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