芸能

【元TBSアナ座談会】「俺の書いたニュース原稿を女に読ませるな」吉川美代子アナが振り返る女性アナ苦闘時代

(左から)吉川美代子さん、渡辺真理さん、木村郁美さん

(左から)吉川美代子さん、渡辺真理さん、木村郁美さん

『news23』『サンデーモーニング』『報道特集』……。「報道のTBS」という看板を背負うテレビ局で、アナウンサーを務めてきた吉川美代子さん、渡辺真理さん、木村郁美さんの3人がここに集まった。「厳しい指導があったからこそ今がある」と語る彼女らに、報道を背負うその矜持を聞いた。【全3回の第1回】

 * * *
──3人がお揃いになるのは久しぶりですか?

吉川:メールで近況をやりとりしたりスケジュールが合えば食事に誘い合ったりはしていますけれど、コロナ禍で疎遠になってしまいました。

渡辺:こうして3人で集まるのは初めてなんです。吉川さんと私は13年違い、郁美ちゃんは96年入社なので期は近いのですけれど。

木村:私が研修している頃に真理さんは退社されてしまったので。共通しているのは、今在籍しているアナウンサーも含めて、みんな吉川さんの教え子ということですね。

吉川:今年入社した南後杏子アナと御手洗菜々アナの研修も先日してきたばかりです。他局のアナウンサーに会ってよく聞くのは先輩が注意してくれないという話。新人の時は注意してくれても、番組を持つようになると先輩が見てくれているかもわからないそう。

渡辺:その点TBSは吉川さんを筆頭に、素晴らしくも厳しい先輩方が親身になって指導をしてくださるので心底、助かりました。私が退社してテレビ朝日の『ニュースステーション』に就くことになった時も、ストレートニュースを読んだ経験が少ない私を心配して、吉川さんと宇野淑子さんがスタジオの隅で指導してくださったんです。

木村:吉川さんは女性アナウンサーとして最初にニュース番組でメインを務めた方。私たちには想像もつかないご苦労をされてきたはず。取材に行かれた際の録音テープをご自分で編集していらしたという話をうかがって本当に驚きました。

吉川:「俺の書いたニュース原稿を女に読ませるな」とか、スカートを穿いてきたら「現場に出るな」とか言われましたよ。本番中も、耳元のイヤリングがちょっと揺れただけで叱られました。お辞儀をした後、髪の毛が顔にかかって手で直すのもニュース番組ではNGでしたから。

渡辺:それでも「報道のTBS」と言われる中で女性も一翼を担えてきたのは、吉川さんのような先輩が道を拓いて、恥ずかしい放送にしないという責任感から後輩を育ててくださったおかげです。

吉川:ニュースって、ただ原稿を読み上げるのではなく、原稿に書かれた内容を理解して伝えなくてはいけない。郁美ちゃんのように、堺正章さんとの『チューボーですよ!』や多くの生ワイドで様々な情報を伝えてきた人はすぐ感覚が掴める。フリップを出すタイミングやVTRを受けてどんなことを言うべきか、番組内容をしっかり理解していなくてはできません。

木村:ありがとうございます。その番組を担当していた時、いちばん覚えているのは2001年の“9・11”です。朝が早かったので既に寝てしまっていたのですが、22時くらいに呼び出されて……。ハイヤーの運転手さんに「今日は大変ですね」と言われても「何がですか?」と聞いたぐらい把握ができていなかった。人生で一番冷や汗をかきました。

第2回へ続く

【プロフィール】
吉川美代子(よしかわ・みよこ)/1954年5月8日生まれ。1977年、TBSに入社。『JNNおはようニュース&スポーツ』で初の女性キャスターとして活躍した。またTBSアナウンススクールの校長を12年間務めており、後進の育成にも奔走。

渡辺真理(わたなべ・まり)/1967年6月27日生まれ。1990年、TBSに入社。2年目にして『モーニングEye』を担当し、1996年には『筑紫哲也 NEWS23』を担当。

木村郁美(きむら・いくみ)/1973年1月19日生まれ。1996年、TBSに入社。『はなまるマーケット』や『チューボーですよ!』などに出演しつつ、『JNNフラッシュニュース』などでニュースにも携わる。

司会・構成/山田美保子(放送作家) 撮影/平野哲郎

※週刊ポスト2023年12月22日号

関連記事

トピックス

ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
渡邊渚さん(撮影/藤本和典)
「私にとっての2025年の漢字は『出』です」 渡邊渚さんが綴る「新しい年にチャレンジしたこと」
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
実力もファンサービスも超一流
【密着グラフ】新大関・安青錦、冬巡業ではファンサービスも超一流「今は自分がやるべきことをしっかり集中してやりたい」史上最速横綱の偉業に向けて勝負の1年
週刊ポスト
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン
12月30日『レコード大賞』が放送される(インスタグラムより)
《度重なる限界説》レコード大賞、「大みそか→30日」への放送日移動から20年間踏み留まっている本質的な理由 
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン