掲載のリストは、本誌調査で判明した、選挙資金の残余金を政党支部に返還した記録のない政治家のリストだ。
木原稔・防衛相は「会計担当者の初歩的なミス。選挙運動費用収支報告書等を修正する」(事務所回答)と釈明したが、安倍派の裏金問題で辞任した西村康稔・前経産相や高木毅・国対委員長らは「(残余金は)非課税とされている」と岸田首相と同じ理屈で開き直った。
自民党派閥の裏金問題を刑事告発するなど、「政治とカネ」を追及し続けてきた上脇博之・神戸学院大学教授がこう指摘する。
「現在の制度では、選挙費用の残余金が出ても、それをどう処理したかまでは公表を義務づけていない。その抜け道を利用して裏金が生まれ、不法な使い方がなされている可能性がある。法律の欠陥ですが、そもそも選挙のお金は、出納責任者に渡され、出納責任者が適正に処理をすることになっている。その時点で候補者のポケットマネーではない。法律に定めがなくても、残余金の使途を問われれば、何に使ったかを説明する責任が候補者にはある。説明できなければ、着服したか、裏金にして使ったかの疑惑が生じます」
岸田首相は派閥のパーティー券問題で岸田派が政治資金収支報告書を修正したことについて、国会で「訂正の報告を受けるまで、私自身は内容について承知していない」と言い張ったが、この選挙運動費用収支報告書は岸田首相個人が提出したものだ。残余金の着服疑惑を「知らなかった」では済ますことはできないのである。
(了。前編から読む)
※週刊ポスト2024年1月1・5日号
※甘利明前幹事長については、選挙翌年となる2022年の自由民主党神奈川県第二十選挙区支部の収支報告書で、甘利氏本人からの残余金と同額の寄附が確認されたので、表と本文より削除しました。