「清和政策研究会」(安倍派)事務所を家宅捜索、東京地検特捜部のビルを出る東京地検の車両(時事通信フォト)

「清和政策研究会」(安倍派)事務所を家宅捜索、東京地検特捜部のビルを出る東京地検の車両(時事通信フォト)

 この場合の文化は、ある集団に共通する行動パターンや、それらの背後にある価値観のことだ。文化は一朝一夕にはできず、組織的な人の集まりがあって作り出されるものだろう。文化は他の人の模倣から始まり、パターンを作り、文化が創られる。 鈴木氏は”文化”という言葉でキックバックを表し、長い間、多くの議員がそうしてきたことを暗に示唆した。14日に選挙区である愛知県のテレビ局CBCの取材の中でも「これまで文化であった。これまで不思議に思っていなかった。多くの議員がそう」とそれを裏付けるようなコメントを残している。

 注意する者も反対する者もいなければ、人はそれに異を唱えるより、周囲のやり方に合わせて同調する「同調現象」を起こしやすい。集団ともなれば同調する力はさらに強くなり、もし自分と異なる意見や行動を求められ、迷ったとしても、周りに合わせてしまう。同調現象が起こっている集団では、個人のときよりも責任感や罪悪感が薄れ、リスクの高い選択をしやすくなるといわれている。おそらくこれでいいのかと疑問に思う議員がいても、同調現象により慣習のように続けられ、問題はスルーされてきたのだろう。

 また集団では周りと同じ行動を取り、同じ選択を行うことで安心するという「ハーディング現象」という心理傾向が生じやすい。鈴木氏のように金額が少なければ還流で、大きな裏金を作ってもらうのがキックバックというような甘い認識があり、それを不思議に思っていなかったというなら、同調現象により無意識に周りと同じことをして、ハーディング現象により何ら心配することなく、キックバックを受け取っていたのだろう。

 鈴木氏はさらに地方議員をやっていた時に、「県連とかからいわゆる売り上げに対して一定の経費分があることはある」と発言した。地方の議員たちにも疑惑の目が向けられそうだ。自民党の中で同調現象はどこまで広がっていたのだろうか。

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