国際情報

【2024年の中国はどうなるのか】戦わずして台湾統一を目論む中国 台湾のリーダーを根こそぎ収容所に送り込む地獄のシナリオも

2024年の中国はどうなるのか(習近平氏。写真/AFP=時事)

2024年の中国はどうなるのか(習近平氏。写真/AFP=時事)

 日本の安全保障の重大リスクが台湾海峡有事だ。1月13日には台湾総統選挙が行なわれ、事態の急展開も予想される一方で、中国では外相、国防相が相次いで解任されるなど習近平体制に不穏な動きも見られる。中国に関する著書が多数ある社会学者の橋爪大三郎氏と元朝日新聞中国特派員のジャーナリスト・峯村健司氏(キヤノングローバル戦略研究所主任研究員)が議論を交わした。【前後編の後編。前編から読む

米国が機能不全に

橋爪:2024年はひどい年になりそうです。

峯村:私は以前から台湾有事は今年から顕在化するだろうと言ってきた。1月13日には台湾総統選挙がある。情勢は与党・民進党の頼清徳が有利と言われていますが、最大野党・国民党の侯友宜が相当追い上げています。専門家の多くは、頼清徳が勝てば有事のトリガーになると見ている。では、中国寄りの侯友宜が勝てば有事は遠のくのか。私は逆だと思う。

橋爪:なぜですか?

峯村:総統選で争う2人の対中国政策はほとんど変わりません。侯友宜の『フォーリン・アフェアーズ』(アメリカの外交・国際政治専門雑誌)の論考を読むと、頼清徳より強硬です。中国の人は、国民党の対中政策も期待できないとよく言っている。

 しかし、中国のシナリオは、戦わずして統一に持ち込むことです。そのキーとして武力は使いますが、弾は撃ちません。軍事的圧力をかけて、最終的に対話に持ち込む。その場合、国民党のほうが対話をしやすい。国民党の総統が誕生したほうが、台湾周辺の海上や上空の封鎖といった行動に出る時期は前倒しになるかもしれません。早晩、中国が攻勢をかけるだろうというのが私の見立てです。

橋爪:中国にすれば、台湾を統一できない限り、世界のスーパーパワーにはなれない。平和統一ができればいいが、武力にものを言わせても統一したい。ドンパチの戦争や上陸作戦はやらないで、台湾に「参りました」と頭を下げさせるのが上策だ。その場合中国が必ずやるのは、台湾に軍を進駐させ、台湾で中国国内の法律を施行すること。1国2制度ではなく、1国1制度にする。民進党はじめ台湾のリーダーは刑事犯として根こそぎ何万人も逮捕して大陸の収容所に送り込む。中国が練り上げている新疆並みの地獄のシナリオです。

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷翔平の投手復帰が待ち望まれている状況だが…
大谷翔平「二刀流復活でもドジャースV逸」の悲劇を防ぐカギは“7月末トレード” 最悪のシナリオは「中途半端な形で二刀流本格復活」
週刊ポスト
ブラジルへの公式訪問を終えた佳子さま(時事通信フォト)
《ブラジルでは“暗黙の了解”が通じず…》佳子さまの“ブルーの個性派バッグ3690レアル”をご使用、現地ブランドがSNSで嬉々として連続発信
NEWSポストセブン
“進次郎劇場”で自民党への逆風は止まったか
《進次郎劇場で支持率反転》自民党内に高まる「衆参ダブル選挙をやれば勝てる」の声 自民党の参院選情勢調査では与党で61議席、過半数を12議席上回る予測
週刊ポスト
異物混入が発覚した来来亭(HP/Xより)
「生肉からの混入はあり得ないとの回答を得た」“ウジ虫混入ラーメン”騒動、来来亭が調査結果を公表…虫の特定には至らず
NEWSポストセブン
左:激太り後の水原被告、右:2月6日、懲役刑を言い渡された時の水原被告(左:AFLO、右:時事通信)
《3度目の正直「ついに収監」》水原一平被告と最愛の妻はすでに別居状態か〈私の夢は彼と小さな結婚式を挙げること〉 ペットとの面会に米連邦刑務局は「ノー!ノー!ノー!」
NEWSポストセブン
衆院広島5区の支部長に選出された今井健仁氏にトラブル(ホームページより)
【スクープ】自民広島5区新候補、東大卒弁護士が「イカサマM&A事件」で8000万円賠償を命じられていた
週刊ポスト
9月に成年式を控える悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
悠仁さまが学園祭にご参加、裏方として“不思議な飲み物”を販売 女性グループからの撮影リクエストにピースサイン、宮内庁関係者は“会いに行ける皇族化”を懸念 
女性セブン
V9伝説を振り返った長嶋茂雄さんのロングインタビューを再録
【長嶋茂雄さんロングインタビュー特別再録】永久不滅のV9伝説「あの頃は試合をしていても負ける気がしなかった。やっていた本人が言うんだから間違いないよ」
週刊ポスト
“超ミニ丈”のテニスウェア姿を披露した園田選手(本人インスタグラムより)
《けしからん恵体で注目》プロテニス選手・園田彩乃「ほしい物リスト」に並ぶ生々しい高単価商品の数々…初のファンミ価格は強気のお値段
NEWSポストセブン
浅草・浅草寺で撮影された台湾人観光客の写真が物議を醸している(Xより)
「私に群がる日本のファンたち…」浅草・台湾人観光客の“#羞恥任務”が物議、ITジャーナリスト解説「炎上も計算の内かもしれません」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《スヤスヤ寝顔動画で話題の佳子さま》「メイクは引き算くらいがちょうどよいのでは…」ブラジル訪問の“まるでファッションショー”な日替わり衣装、専門家がワンポイントアドバイス【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
ヨグマタ相川圭子 ヒマラヤ大聖者の人生相談
ヨグマタ相川圭子 ヒマラヤ大聖者の人生相談【第24回】現在70歳。自分は、人に何かを与えられる存在だったのか…これから私にできることはありますか?
週刊ポスト
ブラジルへの公式訪問を終えた佳子さま(時事通信フォト)
《ブラジルでは“暗黙の了解”が通じず…》佳子さまの“ブルーの個性派バッグ3690レアル”をご使用、現地ブランドがSNSで嬉々として連続発信
NEWSポストセブン