国内

【愛媛スタバ射殺事件】「実家は造り酒屋の名士」指名手配された暴力団幹部は地元では有名な御曹司ヤクザだった

事件直後の現場(共同通信フォト)

事件直後の現場(共同通信フォト)

 1月14日の夕方、愛媛県四国中央市「イオンタウン川之江」内のスターバックスコーヒーで銃声が響いた。殺人の容疑で指名手配されたのは六代目山口組と分裂抗争を続ける独立系暴力団のナンバー2。市民を震撼させた事件の深層に暴力団取材の第一人者の鈴木智彦氏が迫った。

 * * *

 平和な日曜日の午後を台無しにしたのは、1月の寒空の下、野外テラス席に陣取っていた年配の男だった。待ち合わせた男性と話をしていた男は、やにわに拳銃を取り出し、至近距離から相手の胸を数発撃った。銃撃後、男は急ぎ足で乗ってきた白い車に戻り、赤いジャンパーを羽織ると、車をその場に置いたまま徒歩で東へ逃走した。幸い、店内の客に怪我はなかった。

 撃たれた男性は、四国中央市在住の石川雄一郎氏(49)だった。すぐに病院へ運ばれたが心肺停止の状態で、のちに死亡が確認された。犯人が銃器を持ったまま逃走したため、のどかな地方都市はパニック状態に陥った。

「市役所の防災放送で注意喚起がされて、うちも当日はすぐ店を閉めました。翌日も夕方には『戸締まりをきちんとして、不審な人物をみかけたらすぐ110番通報を』という放送が流れてます」(伊予三島新町商店街の商店主)

 が、市内中心部に住む古くからの住民たちは、この事件を暴力団トラブルだと見抜いていた。

「うちのおとうさん、テレビのニュースで被害者の方の名前が出たときにな、『(犯人は)前谷さんかも分からんね』いうたんです」(伊予三島駅近くの飲食店経営者)

 警察が防犯カメラの映像を解析し、岡山県岡山市に本部を置く池田組・前谷祐一郎若頭(62)を全国指名手配したのは事件の翌日である。警察発表のかなり前に住民がピンとくるくらいだから、早い段階から実行犯が特定されていただろう。なにしろショッピングモールは防犯カメラだらけだ。スタバはもちろん、向かいの日産自動車やジョイフルのカメラにも、市民社会のただ中で起きた凶行が映っていたはずだ。

 石川氏はもともと前谷容疑者の組織である六代目山口組傘下組織・功龍会のナンバー2だった。2人の関係がこじれたのは2015年8月の山口組分裂後と推測される。その年の年末、前谷容疑者は神戸山口組中核組織の池田組に移籍して本部長となっている。翌年5月、池田組の高木昇若頭が射殺されると、後任の若頭に就任した。

 石川氏はこれに同調せず、功龍会を脱退して六代目山口組二代目若林組に移籍した。自分の所属していた組織が神戸山口組になってしまったので、離脱して古巣に戻った形だ。その後、山口組から籍を抜き、政治団体雄龍会会長として右翼活動に専念していたという。が、経緯をみれば六代目山口組に近い関係者と表現して差し支えない。

 池田組は神戸山口組を離脱したものの、六代目山口組とは敵対関係を続けている。

関連記事

トピックス

“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
《ママとパパはあなたを支える…》前田健太投手、別々で暮らす元女子アナ妻は夫の地元で地上120メートルの絶景バックに「ラグジュアリーな誕生日会の夜」
NEWSポストセブン
グリーンの縞柄のワンピースをお召しになった紀子さま(7月3日撮影、時事通信フォト)
《佳子さまと同じブランドでは?》紀子さま、万博で着用された“縞柄ワンピ”に専門家は「ウエストの部分が…」別物だと指摘【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
一般家庭の洗濯物を勝手に撮影しSNSにアップする事例が散見されている(画像はイメージです)
干してある下着を勝手に撮影するSNSアカウントに批判殺到…弁護士は「プライバシー権侵害となる可能性」と指摘
NEWSポストセブン
亡くなった米ポルノ女優カイリー・ペイジさん(インスタグラムより)
《米ネトフリ出演女優に薬物死報道》部屋にはフェンタニル、麻薬の器具、複数男性との行為写真…相次ぐ悲報に批判高まる〈地球上で最悪の物質〉〈毎日200人超の米国人が命を落とす〉
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
松竹芸能所属時のよゐこ宣材写真(事務所HPより)
《「よゐこ」の現在》濱口優は独立後『ノンストップ!』レギュラー終了でYouTubeにシフト…事務所残留の有野晋哉は地上波で新番組スタート
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン