コロナで一度延期となった「祝う会」
1月から延期になり6月に開催された
消えた778万円
疑惑はまだある。「祝う会」パーティーの収入が少なくとも約1100万円以上とみられることは前述したが、「祝う会」から広島県第一選挙区支部への寄附は約322万円。差額の約778万円はどこに消えたのか。
同パーティーは飲食の提供がなかったことから、かかった費用は会場費程度だったと考えられる。リーガロイヤルホテル広島の料金表によると、会場の「ロイヤルホール」の料金は会議室使用(2時間)で約78万円、お土産は自分の著書と色紙だったから、800万円近い費用がかかったとは考えにくい。だが、政治資金収支報告書に収支が報告されていないため、残りのカネが“裏金”として処理されていても確認しようがないのだ。
他にも政治資金規正法違反の疑いがある。
政治資金規正法では、収入が1000万円以上の政治資金パーティーは「特定パーティー」とされ、たとえ政治団体以外の団体の主催であっても、「みなし政治団体」として総務省か選挙管理委員会への届け出が必要とされ、その団体はパーティー終了後3か月以内に政治資金収支報告書を提出しなければならないと定めている(十八条の二の二)。
「政治団体ではない団体が特定パーティーを行なう場合、起案の段階から政治団体届け出を行ないます。結果的に1000万円に達しなかった場合でも、パーティー終了後3か月以内に報告を行ないます。また、起案段階では特定パーティーではなかったが、結果的に収入が1000万円を超えた場合も同じです。届け出がなければ罰則(5年以下の禁錮又は100万円以下の罰金)が適用されます」(総務省政治資金課)
本誌が総務省と広島県選管に確認すると、「祝う会」はみなし政治団体の届け出も、収支報告書の提出もしていなかった。
収入が1000万円以上なら「祝う会」は完全な「違法パーティー」だ。
岸田事務所はこう回答した。
「令和4年6月12日に地元政財界の方々が発起人となって『祝う会』を開催していただいたものと認識しております。以前に、当時の『祝う会』の開催経緯を知る事務所関係者からは、『祝う会』の出欠表は、同会の事務局に回答することになっていたこと、会費収入は1000万円未満であったこと、『祝う会』の開催後、数か月してから支部へ寄附する旨の連絡があり、同年9月に寄附を受けたと聞いていました」