弁護士と俳優、「どちらも全力でやりたい」

弁護士と俳優、「どちらも全力でやりたい」

好きなことでなくても、「やること」で何かが付いてくる

──弁護士をしながら、映画を年間400本観たり、絵を描いたり、シナリオ学校に通ったりと……エネルギーが凄いです。そうしたエネルギーはどこから湧いてきますか?

 仕事柄、時間の融通が利くんですよ。朝、書面を書いて、法廷に行って、帰りに銀座の映画館に寄って、その後、午後に会議をしてから、会議と会議の間で観られそうな時間帯の映画を探すとか、よくやっていました。それから僕は長期的な展望がまったくない人間でして、スーパー目の前だけ。目の前のことにガーっと集中しているうちに、やっていることが次の展開につながって、別の形になっていくんです。あるいは思いがけない人に、見つけてもらえたりする。弁護士の仕事の方もそういう、言わばご縁の繰り返しで非常にたくさんの良いクライアントに恵まれました。

──実際に、写真→絵→映像シナリオ→舞台→映画出演……と、形を変えてつながっていっています。秘訣はありますか?

 役者になりたいと思って劇団に入ったわけではないものの、トレーニングを始めたら、まあとにかく、一生懸命やりました。やると決めたことは、いったん、とことんやる。実際にプロの現場でお金を頂戴するわけですから。それから僕は、声がかかったらすぐ行っちゃう。舞台の次は映像に出ようとか、主体的に動いたわけではなく、ありがたいことに声がかかったから出てみよう、が始まりでしたけど、今でも呼ばれたら、すぐ出かけちゃう。

──やはり、好きなことをやることが大事でしょうか?

「好きなことをやる」というより、好き嫌い関係なく、「やること」自体に意味があると思っています。もちろん嫌いなことは続かないでしょうけど、さほど関心がなかったことでも、声がかかったということは、ご縁があるのだと思ってます。

 実際、やれば何かがついてくる。たとえば僕は大学時代、運動会のテニス部でした(編集注:いわゆる体育会)。テニスサークルで気楽にやればよかったのに、そういうことができなくて、部活に入ってしまった。でも、やってよかったと思うのは、楽しかったというよりも、あれだけ練習してみてテニスの才能がないことを明確に知ったからです。僕にはテニスの才能はないけれど、弁護士になってみて、少しは才能があると分かった。だから、せっかく僅かでも才能がある今の仕事は大事にしようと思えました。

関連キーワード

関連記事

トピックス

阪神大震災で行方不明者を捜索する自衛隊員(時事通信)
【阪神・淡路大震災から30年】当時の雑誌が報じた「クラッシュ・シンドローム」のリアル「尿はコーラのように褐色」「懸命なリハビリ」
NEWSポストセブン
79年から続く茶販売店「味萬」を営む伊東正和さん(撮影:加藤慶)
【阪神・淡路大震災から30年】神戸市長田区で復興に尽力した商店街元理事長「今だからこそ伝えたいこと」
NEWSポストセブン
語り部を続ける米山正幸さん(撮影:加藤慶)
「経験がなくても記憶は伝えられる」娘とともに「語り部活動」を続ける北淡震災記念公園・総支配人の“ブレないポリシー”【阪神・淡路大震災から30年】
NEWSポストセブン
2025.1.5/ジュンク堂 三宮駅前店。阪神・淡路大震災を機に書店の使命に気づいたと語る工藤恭孝さん。震災後、ジュンク堂書店は地方出店を積極的に進めた
ジュンク堂書店創業者が語る「被災地に本屋は必要だった」 震災から1か月経たずに営業再開「リュックを背負ったたくさんの人たちが列を作っていた」【阪神・淡路大震災から30年】
週刊ポスト
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《山口組と阪神・淡路大震災》機関紙で明かされていたボランティアの実態 スローガンは「一人は皆のために 皆は一人のために」 組長自ら救援活動
NEWSポストセブン
現在の皇室にとって重要な公務のひとつとなった被災地訪問
雅子さま、皇后になられて初めて迎える阪神・淡路大震災追悼式典に出席 “水仙の花を手向けた”美智子さまから受け継がれる被災地訪問への思い
女性セブン
中居正広“深刻トラブル”被害者X子さんが心の内を明かした(時事通信フォト)
《スクープ証言》中居正広“深刻トラブル”被害者X子さんが口を開いた「9000万円ものお金はもらってません」、フジテレビに対しては「諦めの気持ちが強い」
週刊ポスト
趣味を通じて出会った“美女”とデートをしていたSnow Man向井康二
Snow Man向井康二、YouTube登録16万人超え“ゴルフタレント”と名門コースでラウンドデート お相手は「大勢いるゴルフ仲間の1人」と交友認める
女性セブン
テレビ局に手のひら返しをされる中居正広
中居正広、謝罪文で変わった潮目 テレビ局は沈黙から一転“切り捨て”モード、“育ての親”女性社長も距離を置き、香取慎吾も“手のひら返し”
女性セブン
松竹芸能からの退社を発表した濱口優(時事通信フォト)
よゐこ濱口優、松竹退社の裏にパワハラか「スタッフの前で罵倒」「不機嫌になって無視」などでマネジャーが次々交代 「結婚後により態度が悪くなった」の指摘も
女性セブン
年末の夜に地元の藤沢で仲間と忘年会をしていた中居正広
渦中の中居正広が地元藤沢で仲間と忘年会「浴びるように飲んで悪酔いしていた」 活動再開は“絶望視”、強気な声明文は引退への“工作”か
女性セブン
「週刊ポスト」本日発売! 中居正広「トラブル女性」告白スクープほか
「週刊ポスト」本日発売! 中居正広「トラブル女性」告白スクープほか
NEWSポストセブン