スピードにのったドリブルが持ち味(時事通信フォト)
そもそも性被害を訴え出ること事態が、勇気のいる行為だ。実際、被害女性のうち1人は、PTSDを患い、いまも性被害のフラッシュバックが起きていると主張している。一方、今回の告発で、前述のように伊東が代表チームを離脱したこともまた事実だ。伊東の不在が響いたかどうかはわからないが、優勝候補だった日本は、準々決勝で敗れた。それを背景に、女性たちに対する「二次加害」が起き始めている。
「虚偽告訴の告訴状が受理されたことで、女性たちが“加害者でもある”というような危険な認識が広まりつつあります」(法曹関係者)
いわゆる「逆告訴」によって、インターネットを中心に、女性たちの氏名や住所、SNSのアカウントなどの“素顔”を特定しようとする動きがあるのだ。実際、SNS上ではこんな発言も飛びかっている。
《伊東純也を告訴した女のインスタとTwitterだけ知りたい 特定班教えてくれ》
《どなたか伊東純也を告訴した女を特定して晒し上げてください》
社会部記者が続ける。
「Aさんは、自身のインスタグラムを一時非公開にするなど、逡巡の様子が見て取れます。Bさんも、中傷によってショックを受けている状態だといいます」
法的なシステムの問題もある。
性被害告発と裁判を巡っては、昨年末以降、ダウンタウン・松本人志(60才)の件が注目を集める。一方、伊東のケースとの大きな違いは、松本が『週刊文春』の発行元などを訴えているのに対し、伊東は「虚偽告訴」でも「損害賠償」でも、“被害女性”たちを相手にしている点だ。告訴状が受理されたため、女性たちは「被告訴人」であり、今後、民事訴訟にもなれば「被告」にもなる。
「公開されるものではありませんが、一般的に、告訴状には被告訴人の氏名や住所が記載されます。また、司法の公正な運用を保障するために、裁判は公開が原則です。一般の人でも傍聴は自由にできますし、裁判記録の請求も可能です。住所、氏名などの秘匿の申し立てをし、さらに記録の閲覧制限の申し立てをしないと、第三者に個人情報が伝わるリスクがあります」(グラディアトル法律事務所の若林翔弁護士)
双方の主張は真っ向から対立している。今後警察の捜査や裁判を通して“あの夜”の詳細は明らかにされるだろうが、性犯罪がもしあったのならば、その「二次加害」があってはならないことだけはたしかだ。
※女性セブン2024年2月22日号
