スターをめぐる経済現象には他に「スーパースター現象」がある。シカゴ大学の経済学者シャーウィン・ローゼン氏の論文「スーパースターの経済学」によると、この現象は、一部のスーパースターと呼ばれるアーティストやアスリートらが多額の報酬を得て、他の人達との間に所得格差が広がってしまうことをいう。ロサンゼルス・ドジャースと1000億円を超える超大型契約を結んだ大谷翔平選手も、スーパースター現象を起こした1人だ。グローバルな市場やファンの多さなどが重要な要因とされるが、言い換えればそれらは影響力の大きさや広がりでもある。
スウィフトミクスはスーパースター現象の範疇を超え、これまでのアーティストの中でも群を抜くほどその影響力は大きく広がる。2月11日に行われたプロフットボールNFLの王者決定戦「スーパーボウル」では、日本からトンボ返りした彼女が、恋人のトラビス・ケルシーが所属するチーフスを応援する様子が何度も生中継で映し出された、番組の視聴者数が過去最多の1億2340万人に上り、女性向けのテレビCMが増えたという。これらもテイラー効果といわれている。
いくつもの数字が物語るテイラー効果に、トランプ氏とトランプ支持者らはますます警戒を強めている。トランプ支持者たちは彼女がバイデン大統領を再選させるための”工作員”だとする陰謀論を唱え、彼女の恋人が所属するチーフスが決勝進出したのも陰謀だと拡散。保守系メディア番組の司会者は、この決定戦のハーフタイムに彼女が登場し、バイデン支持を表明するとXに書き込み騒ぎとなった。トランプ氏がSNSに前述のような投稿したのはそのためだろう。
大統領選に与える影響がますます増大していくテイラー効果と彼女の発言に戦々恐々とするトランプ氏。そうやって考えるとこの選挙はバイデンVSトランプというより、テイラーVSトランプのようだ。彼女の発言に注目したい。