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フィリピンに「フリップ芸」を持ち込んだ吉本芸人の“生き様”「タガログ語で日本の高齢化をネタに」同期は渡辺直美、ジャンポケ

日本の電車内で高齢者同士が「どうぞ座ってください」と席を譲る場面が描かれたフリップ

日本の電車内で高齢者同士が「どうぞ座ってください」と席を譲る場面が描かれたフリップ

 空前のお笑いブームで、M-1グランプリ2023のエントリー総数は8540組、R-1グランプリ2024の出場者は5457人と、ともに過去最高を数える。そんな“お笑い戦国時代”のなかで、世間の脚光を浴びる芸人はほんの一握りだが、なかには「海外」に活路を見出した日本人コメディアンもいる。10年以上フィリピンで取材歴があるノンフィクションライターの水谷竹秀氏がレポートする。(前後編の前編)

 * * *
「本日のトリを務めるコメディアンは日本の埼玉県出身です!」

 フィリピン人男性のMCから紹介され、吉本興業所属のほりっこし(37)が舞台に現れると、客席に向かって日本人らしく深々と頭を下げた。漫才師のような洒落たスーツ姿ではなく、南国を感じさせるTシャツに短パンだ。そしてマイクを手に、流暢なタガログ語でこう挨拶を始めた。

「皆さんこんばんは!楽しんでいますか?」

 客席から、「イエース!」と声が挙がるも、ほりっこしはさらに声を張り上げた。

「声が小さいです。もっと大きな声でお願いします!」

 会場の空気を温めたところで自己紹介をする。早速、かつて住んでいたフィリピン最大のスラム、トンド地区を舞台に、軽いネタをかました。

「トンドの人たちは『携帯電話がすぐに壊れる』って言うんです。でも僕はフィリピンに来てから1回も携帯が壊れたことがありません。なぜなら壊れる前に盗まれるからです。フィリピンには8年住んでいますが、年に1回ペースで盗まれています。だから合計8台盗まれました。でも壊れてないですよ!」

 会場から笑いが漏れる。続いてほりっこしはフリップを掲げ、本題に入った。

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