国内

《バブルを知る作家が当時を回顧》「マハラジャ」で知り合ったヤンエグ男性はバブル崩壊とともに姿を消した――狂乱と混沌の中で起きていたこと

(時事通信フォト)

バブル時代、日経平均株価は3万8915円に達した(時事通信フォト)

 日経平均株価が連日のように史上最高値を更新し、バブル時代との比較が何かと話題に上っている。改めて考えたい、バブルとはどんな時代だったのか? 『バブル、盆に返らず』(光文社)の著書がある作家・甘糟りり子さんが自らの経験を元に綴る。

 * * *
 1989年12月29日の日経平均株価3万8915円がついに破られ、ニュースでは「バブル」という単語が連呼された。そのせいだろう、このところ「バブルってどんな時代だったんですか?」と聞かれることが多い。

 バブル時代とはディスコと不動産の時代だった。麻布十番のディスコ「マハラジャ」には毎晩ものすごい熱気が渦巻いていた。いつ行ってもどんちゃん騒ぎ的な盛り上がりで、今の若者が訪れたら何かのパーティーかと思うに違いないが、それが通常の様子だった。(あちこちで何度も書いておりますが、バブル時代のディスコ=ジュリアナ東京というのは間違い。ジュリアナはバブルが弾けてから)

 行きつけのディスコは友達との溜まり場で、今のSNSみたいな機能を果たしていたと思う。そこにいれば誰かに会える。釣り書き的なプロフィールは知らないけれど、ある一面だけは近い距離感の友達ができる。ゆるい繋がりだからこその連帯感を味わえた。

 Mくんも「マハラジャ」で知り合った一人。友達の彼氏の同級生だか同僚だかで、中堅どころのサラリーマン(今でいうところのビジネスマン)だった。有名企業の若手月給取りが「ヤンエグ」といわれて、もてはやされていた時代である。ヤンエグとは、ヤングエグゼクティブの略。かなり小っ恥ずかしい単語だが、当時は平気で使われていた。一応その一人であるMくんも「マハラジャ」や系列店の「キング&クィーン」を我が物顔で闊歩していた。

 黒服とは顔馴染みで、混んできたら順番に明け渡さないといけないはずのフロア前のテーブル席も、彼と一緒なら好きなだけ使うことができた。同録テープはもらい放題。「マハラジャ」や「キング&クィーン」では、 DJがかけた音楽(及びサンプリング音)をそのままカセットテープに録音して、常連や誕生日ガール&ボーイでプレゼントする習慣があったのだ。

 フロア前のテーブル席でやたらと甘いスパークリングワインをクープグラスで飲みながら聞いた話なので詳細はあやふやだが、なんでも自宅とは別に投資目的でマンションを購入したと話していた。あの頃、不動産の値段は日々上がり続け、サラリーマンでは山手線の内側に家は買えないといわれる一方で、銀行は不動産購入のための資金は積極的に貸した。たとえ若者であっても、それを担保にどんどんローンを組ませた。

ポルシェで苗場のスキー場に行って…女の子たちは「すごーい」

 Mくんもローンを組んでマンションを購入して貸し出し、賃料でローンを払っている、とか何とか。自分が住んでいるマンションは貸している部屋よりいいマンションで、当時まだ目新しかった「コンクリート打ちっぱなし」だと自慢していた記憶がある。

関連記事

トピックス

「決意のSNS投稿」をした滝川クリステル(時事通信フォト)
滝川クリステル「決意のSNS投稿」に見る“ファーストレディ”への準備 小泉進次郎氏の「誹謗中傷について規制を強化する考え」を後押しする覚悟か
週刊ポスト
悠仁さまの「加冠の儀」に出席された雅子さま(時事通信フォト)
《輝きを放つシルク》雅子さま、私的な夕食会で披露した“全身ゴールド” ファッション専門家「秋を表現された素晴らしい一着」
NEWSポストセブン
アニメではカバオくんなど複数のキャラクターの声を担当する山寺宏一(写真提供/NHK)
【『あんぱん』最終回へ】「声優生活40年のご褒美」山寺宏一が“やなせ先生の恩師役”を演じて感じた、ジャムおじさんとして「新しい顔だよ」と言える喜び
週刊ポスト
林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
《部屋はエアコンなしで扇風機が5台》「仏壇のろうそくに火をつけようとして燃え広がった」林家ぺー&パー子夫妻が火災が起きた自宅で“質素な暮らし”
NEWSポストセブン
クイズ企画が人気を集めている『新しいカギ』の特番が放送される(公式HPより)
《1コーナーから2時間特番に》『新しいカギ』「高校生クイズ何問目?」が高校生から高い支持 「純粋にクイズを楽しめる」「負けても納得感」で『高校生クイズ』との違いも 
NEWSポストセブン
1年ほど前に、会社役員を務める元夫と離婚していたことを明かした
《ロックシンガー・相川七瀬 年上夫との離婚明かす》個人事務所役員の年上夫との別居生活1年「家族でいるために」昨夏に自ら離婚届を提出
NEWSポストセブン
林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
「パー子さんがいきなりドアをドンドンと…」“命からがら逃げてきた”林家ペー&パー子夫妻の隣人が明かす“緊迫の火災現場”「パー子さんはペーさんと救急車で運ばれた」
NEWSポストセブン
“高市潰し”を狙っているように思える動きも(時事通信フォト)
《前代未聞の自民党総裁選》公明党や野党も“露骨な介入”「高市早苗総裁では連立は組めない」と“拒否権”をちらつかせる異例の事態に
週刊ポスト
韓国アイドルグループ・aespaのメンバー、WINTERのボディーガードが話題に(時事通信フォト)
《NYファッションショーが騒然》aespa・ウィンターの後ろにピッタリ…ボディーガードと誤解された“ハリウッド俳優風のオトコ”の「正体」
NEWSポストセブン
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン