こういった咬合が悪い症例では奥歯が欠損していなくても歯の動揺や顎関節の機能障害が認められ、口がうまく開かない、口を開けると音がする、痛みがある、日常的な片頭痛が辛いなどの症状が起こってしまうのである。
これらの症状を緩和させていくのには顎口腔機能を維持する咬合治療が必要だ。具体的には睡眠時にマウスピースを装着し、歯ぎしりによる過重を抑制して歯を守る治療を行なう。さらに欠損部にはインプラント埋入や、すり減って短い歯には補綴(ほてつ)治療を行なうなどの複合的治療で、咬合の再建をはかる。
「現在、審美的な歯並び、顎関節の安定、顎を動かす筋肉の協調などを含めた口腔機能の回復が求められており、それらを実現させる治療を実践しています」(波多野院長)
家族が深夜、歯ぎしりをしていたら、それは咬合が異常な証拠。日々の健康を噛み締めるためにも早急な受診を。
取材・構成/岩城レイ子
※週刊ポスト2024年3月22日号