「原因」と言えるのか
「後遺症リスク」への警鐘について、ほかの専門家たちはどう考えるのか。
長崎大学大学院教授で感染症やワクチンに詳しい森内浩幸医師が語る。
「研究報告から読み取れるのは、“ワクチンを打った後に症状を訴える人がいた”ということまでで、“その原因はワクチン”とは証明できていない。因果関係がないことを示すのは“悪魔の証明”と同じで困難を極めます。日本では毎日4000人弱の人が亡くなり、うち400~800人は脳卒中や心筋梗塞などの突然死。国民の8割が初回接種し、その後も何度も打つ状況だったため“接種の時期とそれとは因果関係のない疾患発生がたまたま重なった”人が多くいたとも考えられる」
昭和大学医学部客員教授(感染症学)で医師の二木芳人氏は、計3071の報告例についてこう見解を述べる。
「世界の事例が集計されていますが、日本でほとんど使用されていないアストラゼネカ製のベクターワクチンなども含んだ数字のようです。このワクチンは血栓症などの副反応が生じやすいと報告されており、改めてワクチンごとの集計も必要かもしれません」
こうした意見に対して、福島氏はこう述べる。
「確かに我々のデータはベクターワクチン接種後の症例の報告が含まれますが、国の救済制度で死亡一時金または葬祭料に係る認定数が493件あるのは事実です。しかも健康被害の認定者数は、過去45年間の国内のすべてのワクチン被害認定件数をすでに超えた。健康被害にもっと正対すべきだと考えざるを得ません」
さらに福島氏は「原因はワクチンに含まれるmRNAにある」と主張。
日本人の大半が接種した「mRNAワクチン」は、ウイルスのたんぱく質の設計図となる遺伝子情報(mRNA)を体内に注入することで、コロナウイルスの表面に存在するスパイクたんぱくを作り出す。これを体内の免疫系が認識すると、抗体ができ、コロナの発症や重症化を防ぐとされる。