芸能

『仁義なき戦い』『北陸代理戦争』『日本の首領』…実名が登場した作品も 日本最大の暴力団「山口組」に迫ったヤクザ映画

様々なヤクザ映画に出演した高倉健さん

様々なヤクザ映画に出演した高倉健さん

 全国の暴力団は厳しく取り締まられ、九州の工藤會はトップ2人が無期懲役判決を受け、弱体化した。そうしたなか、山口組は日本最大の暴力団として今も勢力を維持し、時に政財界をも動かす影響力を有している。

 抗争から裏切り、全国進出まで、山口組は映画の世界でも数々の題材となってきた。『仁義なきヤクザ映画史』(文藝春秋刊)の著者で映画史家の伊藤彰彦氏が、山口組の実像に迫った映画について語った。

 * * *
 山口組中興の祖とも言える三代目の田岡一雄組長は、組員たちを食わせるために、様々な事業を手掛けました。

 その一つが浪曲の興行を手始めとする芸能界への進出です。神戸芸能社を立ち上げ、所属する美空ひばりの出演作などで、組の関係者が主に東映の撮影所に出入りするようになった。それが1960年代頃ですね。

 ここから山口組と映画界の結びつきが始まりました。

 映画界では大正時代から、撮影隊がロケに出かけると、地元のヤクザがちょっかいを出してくるので、スタッフ側も地元のヤクザを雇ってボディーガードを務めさせ、これを「露払い」と言った。彼らはロケ先の手配など重要な仕事を任され、撮影所になくてはならない存在になっていく。この役割を次第に山口組が担っていった。

 1963年から、東映は明治、大正から昭和初期を舞台にした任侠映画を作っていました。鶴田浩二の博徒シリーズや高倉健の日本侠客伝シリーズといった、いわゆる着流しヤクザが活躍する映画です。これらの作品が1970年代の初めに作られなくなって、入れ替わるように、1973年1月に封切られたのが『仁義なき戦い』シリーズです。着流しヤクザ映画はヤクザの様式美を描いていたのに対し、仁義シリーズは、実物のヤクザをモデルにし、金や欲にまみれた姿を描きました。

 同シリーズで、山口組は『明石組』という名で登場します。丹波哲郎が演じた明石組組長・明石辰男は田岡一雄がモデルになっています。

 シリーズ第三作目の『仁義なき戦い 代理戦争』(1973年9月公開)は1960年代初頭が舞台。山口組がモデルの明石組と、同じく神戸を拠点とする神和会、その二大勢力に傘下入りした広島ヤクザの戦争を描いています。続く『仁義なき戦い 頂上作戦』(1974年1月公開)も含めて、高度成長期の日本で勢力を広げていく山口組(明石組)の姿を知ることができます。

関連記事

トピックス

木本慎之介
【全文公開】西城秀樹さんの長男・木本慎之介、歌手デビューへの決意 サッカー選手の夢を諦めて音楽の道へ「パパの歌い方をめちゃくちゃ研究しています」
女性セブン
綾瀬はるかが結婚に言及
綾瀬はるか 名著『愛するということ』を読み直し、「結婚って何なんでしょうね…」と呟く 思わぬ言葉に周囲ざわつく
女性セブン
強く、優しく、凜とした母を演じる石田ゆり子(写真/NHK提供)
《『虎に翼』で母親役を好演》石田ゆり子、プロデューサーや共演者が驚いた“愛される力”「ストレスかかる現場でも動じない人」
週刊ポスト
「夢みる光源氏」展を鑑賞される愛子さま
【9割賛成の調査結果も】女性天皇についての議論は膠着状態 結婚に関して身動きが取れない愛子さまが卒論に選んだ「生涯未婚の内親王」
女性セブン
羽生結弦のライバルであるチェンが衝撃論文
《羽生結弦の永遠のライバル》ネイサン・チェンが衝撃の卒業論文 題材は羽生と同じくフィギュアスケートでも視点は正反対
女性セブン
“くわまん”こと桑野信義さん
《大腸がん闘病の桑野信義》「なんでケツの穴を他人に診せなきゃいけないんだ!」戻れぬ3年前の後悔「もっと生きたい」
NEWSポストセブン
中村佳敬容疑者が寵愛していた元社員の秋元宙美(左)、佐武敬子(中央)。同じく社員の鍵井チエ(右)
100億円集金の裏で超エリート保険マンを「神」と崇めた女性幹部2人は「タワマンあてがわれた愛人」警視庁が無登録営業で逮捕 有名企業会長も落ちた「胸を露出し体をすり寄せ……」“夜の営業”手法
NEWSポストセブン
中森明菜
中森明菜、6年半の沈黙を破るファンイベントは「1公演7万8430円」 会場として有力視されるジャズクラブは近藤真彦と因縁
女性セブン
食品偽装が告発された周富輝氏
『料理の鉄人』で名を馳せた中華料理店で10年以上にわたる食品偽装が発覚「蟹の玉子」には鶏卵を使い「うづらの挽肉」は豚肉を代用……元従業員が告発した調理場の実態
NEWSポストセブン
昨年9月にはマスクを外した素顔を公開
【恩讐を越えて…】KEIKO、裏切りを重ねた元夫・小室哲哉にラジオで突然の“ラブコール” globe再始動に膨らむ期待
女性セブン
17歳差婚を発表した高橋(左、共同通信)と飯豊(右、本人instagramより)
《17歳差婚の決め手》高橋一生「浪費癖ある母親」「複雑な家庭環境」乗り越え惹かれた飯豊まりえの「自分軸の生き方」
NEWSポストセブン
店を出て染谷と話し込む山崎
【映画『陰陽師0』打ち上げ】山崎賢人、染谷将太、奈緒らが西麻布の韓国料理店に集結 染谷の妻・菊地凛子も同席
女性セブン