カルチャー全般のリバイバルブーム
ドラマも同様であり、今冬放送の『大奥』は連続ドラマとしては20年ぶりの復活でしたし、4月27日放送予定のスペシャルドラマ『心はロンリー 気持ちは「・・・」』も21年ぶりの復活。どちらもフジテレビのドラマであり、その戦略は徹底されています。
その他のコンテンツでも、1990年代の漫画・アニメ『SLAM DUNK』が原作終了から26年の時を経て公開された『THE FIRST SLAM DUNK』が一昨年末から昨年にかけてヒットしたのは記憶に新しいところ。カルチャー全般のリバイバルブームが20~30年前に放送されたドラマの復活につながっているのです。
特に民放各局では、このところ番組のジャンルを超えて、過去に放送されたコンテンツの再評価が進められていました。アーカイブ映像を生かした特番を制作したり、平成初期から中期のドラマをTVerで無料配信したりなど、「ヒットコンテンツは局の貴重な財産」という考え方が浸透しています。
それぞれのコンテンツは「古い」というネガティブな意味ではなく、「リアルに“年齢”を重ねた」などとポジティブにとらえられ、2010年代のように長寿番組をあっさり終わらせるケースが減りました。
実際、今春でレギュラー放送が終了した『日立 世界ふしぎ発見!』(TBS系、1986年スタート)、『世界一受けたい授業』(日本テレビ系、2004年スタート)、『ブラタモリ』(NHK総合、2008年スタート)は、すべて単発特番として残すことが基本路線。それぞれ人間に置き換えると38歳、20歳、16歳に相当し、特番として継続することでさらに年齢を重ねて味わいを増していくことが期待できます。
ちなみに『GTO リバイバル』のキャッチコピーは「時代は変わっても、俺は変わらない」。このフレーズからも、現在のテレビ業界が年月を経ても変わらない魅力を持つものに正当な評価を下すようになった様子がうかがえます。