今なお現役のトップ俳優がズラリ
「シニア向け」でも「懐古主義」でもなく、マーケティングとして過去の番組が選ばれている理由が、あと2つあります。
1つ目の理由が「過去の番組も動画配信サービスで幅広い年代に見てもらえるようになった」こと。『GTO』も『踊る大捜査線』もリアルタイムで見ていない若年層がTVerやFODで見ることができますし、やり方次第では有料会員獲得にもつなげられるでしょう。
実際、現在TVerで『GTO』を見ている人もいますし、今秋の新シリーズ公開に合わせて『踊る大捜査線』を一気見する人もいるでしょう。「その配信視聴を『GTOリバイバル』の視聴率獲得や『踊る大捜査線』新シリーズの興行収入につなげられる」という意味で、マーケティングの計算が立つのです。
そして2つ目の理由が「キャスト、スタッフともに今なお現役のトップとして活躍している人が多い」こと。
事実、『踊る大捜査線』の織田裕二さん、柳葉敏郎さん、ユースケ・サンタマリアさん、水野美紀さんらは現在もトップシーンで活躍していますし、スタッフのプロデュース・亀山千広さん、脚本・君塚良一さん、演出・本広克行さんも、まだまだ健在ぶりを見せてくれるでしょう。
『GTO』の反町さん、松嶋菜々子さん、小栗旬さんらも同様であり、リバイバルには「その若々しい姿で視聴者を元気づけたい」という意味合いもあるようです。26年もの時を経て彼らがどんな姿を見せるのか。新キャストでリメイクするのではなく、同じキャストで続きを描くことで、コンテンツとしてだけでなく、個人の魅力も再発見させてくれるでしょう。
【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月30本前後のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組に出演し、番組への情報提供も行っている。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。