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ドジャースで大谷翔平、山本由伸を支える“名将”ロバーツ監督の「見守る力」 侍メジャーリーガーが信頼を寄せる理由

大谷翔平(左)とハイタッチするデーブ・ロバーツ監督(写真/共同通信社)

大谷翔平(左)とハイタッチするデーブ・ロバーツ監督(写真/共同通信社)

 10年約1000億円という大型契約を結んでロサンゼルス・ドジャースに入団した大谷翔平は、開幕から8試合も本塁打が出なかった。米メディアもざわつき始めた4月3日の試合前、監督のデーブ・ロバーツは大谷にこう語りかけた。

「翔平らしくしていればそれだけでいい」

 その日、41打席目にして第1号が飛び出し、大谷は「監督の言葉で気持ちがラクになりました」と振り返った。

 今季、大谷に加え山本由伸も加入したドジャースにあって、ロバーツ自身も日本に縁の深い人物だ。1972年という返還直後の沖縄で、軍人だったアフリカ系米国人の父と日本人である栄子さんとの間に生まれた彼は、選手としてドジャース在籍時代(2002年~2004年)に野茂英雄や石井一久らとプレーした。2016年シーズンに監督となってからはダルビッシュ有や前田健太を指導している。

「日本にルーツがあるということで、野茂さんや石井をはじめ日本人に積極的にアプローチしていました。時折、お母さんがおにぎりなどを差し入れしてくださったことも覚えています」

 そう振り返るのは石井と共に米国に渡り、ドジャースで公認トレーナーを務めた深澤英之(現ルートヴィガー代表)だ。ロバーツにもマッサージを行なうことがあったという。

「1年目のキャンプ中に、石井が打ち込まれて落ち込んだことがあった。ロバーツは駆け寄って『君の力がこんなもんじゃないことはみんなわかっている』と励ましていた。彼から人の悪口を聞くこともなければ、彼のことを悪く言う人もいなかったですね。選手としての彼は、体が大きいわけではないので、得意の足を使った盗塁やバントで生き抜こうとしていた。常に全力でケガも多かったですが、日本人的なスモールベースボールの体現者でした」

 現役引退後は指導者を志しながら、2010年に血液のがんを患い、休養を挟みながら克服。2015年シーズン後にドジャースの監督になると、8シーズン連続でポストシーズンに進出、2020年にはワールドシリーズを制覇した。NHKのMLB中継で解説を務める武田一浩は監督としてのロバーツをこう評価する。

「野手出身ということもあり、投手起用に関しては上手な印象はありません。マエケンが在籍した頃も、もう少し辛抱して使ってあげてほしいと思ったこともある。ただベンチで選手と接する時の表情はやわらかく、ミスに渋い顔をすることもない。ソウルシリーズの第2戦で山本が初回KOされると、ロバーツ監督がベンチに戻った山本に優しく語りかける姿がありましたよね。日本の文化も国民性も理解していることが伝わってきます」

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