ピンクのチャイナ服が井上さん(本人提供)
ドラマに出るたびにギャラは上がっていきましたね。中国のドラマはだいたい30~40話で構成されています。それを3~4か月で一気に撮影するのです。最初のうちは10万元くらいだったギャラが、私の場合は全話で40万元という水準まで上がっていきました。
事務所制作であれば30%、外部制作のドラマであれば10%が事務所の取り分となります。残りの28万~36万元が私のギャラです。30万元は日本円にして600万円くらい。税金を引かれた手取りで600万円なので、中国ドラマのギャラは良かったと思います。これまでテレビドラマには15本、2時間ドラマは3本、映画2本に出演しました。
所属していた事務所の作品だけではなく、他社が制作する2時間ドラマにもたくさん出ました。でも中国にはずるい助監督がいっぱいいて、『二重契約をしよう』とよく持ち掛けられました。例えば60万元で契約書を作るから、20万元を自分のところにバックしろ、と言うんです。日本で言うところのキックバックですが、私は断わっていました。
とはいえ、中国人は情に深い人が多く、親しくなってくれた方々はみな家族のように接してくれた。ところが、国の雰囲気が一変し、私の運命が大きく変わるような出来事が国家間で起きたのです」(井上さん。以下同)