2024年3月、つる子は女性落語家として初めて抜擢で真打ちとなった

2024年3月、つる子は女性落語家として初めて抜擢で真打ちとなった

飛躍のきっかけとなったYouTube

 ここに辿り着くまでには紆余曲折があった。真打ちの前の身分、二ツ目時代の前半は暗中模索の日々だったという。

「ネットの書き込みで『期待外れだった』とか書かれると、今度、その会場でやるとき、同じ噺はできないなって思ったり。いろんなことを気にし過ぎていましたね」

 そんなつる子が飛躍するきっかけになったのは、新型コロナの流行下、つまり落語が思うようにできない時期だった。

「あのとき、落語家はいろんな選択をした。私は世の中が暗くなっているので、少しでも笑顔になれることをやりたいなと思ってYouTubeを始めたんです。昔からやってみたかったんですよ。思いつきで何でもやりました。落語関連のコントとか、料理とか、ただ歌うだけとか。でもそれをきっかけに、知ってくださる方が増えていって」

 新たな表現の場を得たことで、本来の自分が戻ってきた。

「YouTubeで元気をもらいましたとか言ってくれる人がけっこういて。人に喜んでもらうこと。これが私の原点なんだなって思い出したんです。あの期間に揺るがない何かができましたね」

 芸人は笑っているときでも目は笑っていないとよく言われる。しかし、つる子はいつも全身で笑っている。

【取材・文】
中村計(なかむら・けい)/ノンフィクションライター。1973年、千葉県生まれ。著書に『甲子園が割れた日』『勝ち過ぎた監督』など。近年はお笑い関連の取材・執筆を多く手がける。近著に『笑い神 M-1、その純情と狂気』。

撮影/田中智久 取材協力/新宿末廣亭、TBSラジオ

※週刊ポスト2024年5月17・24日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

全米野球記者協会ニューヨーク支部主催のアワードディナーに出席した大谷翔平と、妻・真美子さん(左/時事通信フォト、右/提供:soya0801_mlb)
《真美子さんが座る椅子の背もたれに腕を回し…》大谷翔平が信頼して妻を託す“日系通訳”の素性 “VIPルーム観戦にも同席”“距離が近い”
NEWSポストセブン
司法省がアンドリュー元王子の写真を公開した(写真/Getty Images)
《白シャツ女性に覆いかぶさるように…》エプスタイン・ファイルで新公開されたアンドリュー元王子とみられる人物の“近すぎる距離感の写真” 女性の体を触るカットも
NEWSポストセブン
(時事通信フォト)
【2・8総選挙「大阪1〜10区」の最新情勢】維新離党の前職が出た2区、維新前職vs自民元職vs野党候補の5区で「公明党票」はどう動くか
NEWSポストセブン
なぜ実の姉を自宅で監禁できたのか──
《“お前の足を切って渡すから足を出せ”50代姉を監禁・暴行》「インターホンを押しても出ない」「高級外車が2台」市川陽崇・奈美容疑者夫妻 “恐怖の二世帯住宅”への近隣証言
NEWSポストセブン
東京拘置所(時事通信フォト)
〈今年も一年、生きのびることができました〉前橋スナック銃乱射・小日向将人死刑囚が見せていた最後の姿「顔が腫れぼったく、精神も肉体もボロボロ」《死刑確定後16年で獄中死》
NEWSポストセブン
間違いだらけの議事録は「AIのせい」(写真提供/イメージマート)
《何でもAIに頼る人たち》会社員女性が告白「ケンカの後、彼から送られてきた”彼女の方が悪い”とAIが回答したスクショ」ほどなく破局
NEWSポストセブン
国際ジャーナリスト・落合信彦氏
国際ジャーナリスト・落合信彦氏が予見していた「アメリカが世界の警察官をやめる」「プーチン大統領暴走」の時代 世界の“悪夢”をここまで見通していた
NEWSポストセブン
高市早苗首相(時事通信フォト、2025年10月15日)
《頬がこけているようにも見える》高市早苗首相、働きぶりに心配の声「“休むのは甘え”のような感覚が拭えないのでは」【「働いて働いて」のルーツは元警察官の母親】 
NEWSポストセブン
ジェンダーレスモデルの井手上漠(23)
井手上漠(23)が港区・六本木のラウンジ店に出勤して「役作り」の現在…事務所が明かしたプロ意識と切り開く新境地
NEWSポストセブン
元日に結婚を発表した女優の長澤まさみ(時事通信フォト)
長澤まさみ「カナダ同伴」を決断させた「大親友女優」の存在…『SHOGUN』監督夫との新婚生活は“最高の環境”
NEWSポストセブン
国際ジャーナリスト・落合信彦氏
【訃報】国際ジャーナリスト・落合信彦氏が死去、84歳 独自の視点で国際政治・諜報の世界を活写 
NEWSポストセブン
薬物で急死した中国人インフルエンサー紅紅(左)と交際相手の林子晨容疑者(右)(インスタグラムより)
「口に靴下を詰め、カーテンで手を縛り付けて…」「意識不明の姿をハイ状態で撮影」中国人美女インフルエンサー(26)が薬物で急死、交際相手の男の“謎めいた行動”
NEWSポストセブン