木村拓哉が運転。助手席にはKoki,が(2023年)
若者集団が自転車で何度も往復
よい緊張感が漂う撮影現場で起きたのが、冒頭のシーンである。この日の撮影には木村も参加していた。
「木村さんは、ここぞという場面の前には誰もいない場所へ移動し、ひとりになって集中力を高めます。この日も、役に入り込むためにキャストもスタッフもいない屋外で考えを整理してから撮影に臨もうとしていました」(芸能関係者)
静寂のなかで、「木村拓哉」から「狩山陸」に入り込もうとしたその瞬間──。
「若者の集団が、木村さんの前を通り過ぎたかと思うとわざわざ戻ってきてじろじろと眺めた。集中力を高めていた木村さんが反応せずにいると、今度はスマホを掲げながら自転車で何往復もし、木村さんの気を引こうとする始末。おそらくスマホで木村さんの様子を撮影しようとしていたのでしょうね。彼らとしては、思わず大スターに遭遇したことで興奮してしまったのかもしれないが、明らかにマナーを逸していました」(前出・芸能関係者)
誰からもとがめられないのをいいことに、木村の目の前を行ったり来たりする若者たち。すると、それまでは黙っていた木村が彼らに“ちょっと待った”をかけた。
「若者たちの方に静かに歩み寄り、“スマホでの撮影はどうかやめてほしい”と注意をしていました。その声は厳しく、叱責とも取れるような雰囲気でした。
若者たちも、まさか本人から注意されると思っていなかったのでしょう。驚いた様子で硬直し、その場がシンと静まり返りました」(居合わせた人)
それ以降、現場周辺は落ち着きを見せたという。
その場で注意をするのはリスクが大きい
近年、スタジオ外での撮影は極めて困難になりつつあるという。
「どこでロケがあるという情報や、誰がどこで撮影をしているといった情報がすぐにSNSで広まるので、人が集まりすぎて撮影を中断せざるをえないこともあります。
なかには撮影風景を動画に撮って放送前にSNSにアップする人もいて、それが服装や場所からネタバレにつながってしまうこともあります」(制作会社関係者)
スタッフがその場で注意をするのもリスクが大きいという声もある。
「同じように注意をしても、やめてくれる人とそうでない人がいます。どうしてもやめない人に何度も注意をすると、注意する様子までスマホで撮影して拡散され騒動になるなど、いたちごっこになってしまうことも。その場を収めるには、雰囲気を敏感に読んで、臨機応変に対応しなくてはならないのです」(前出・制作会社関係者)
木村が自ら口を開いたのは、それが最適だと考えたからだろう。
「今回木村さんは座長である自分が直接、若者たちに対峙するのがいちばんいいと瞬時に判断したのでしょう。あの叱責は木村さんなりの配慮だったのだと思います」(前出・制作会社関係者)
ドラマ外でも闘う姿勢を貫こうとする木村。彼にとっての正義が垣間見えたような気がした。
※女性セブン2024年5月23日号
