ライフ

慶応義塾大学病院が美容医療に特化した外来、同大学史上初の開設、5月7日から痩身など受付、外科と非外科的治療の両方の拡充を計画

慶応義塾大学病院(時事通信フォト)

慶応義塾大学病院(時事通信フォト)

 2024年5月7日、慶応義塾大学病院が美容医療外来を開設した。同病院では「初めて、美容形成外科に特化した診療を行う外来」(同病院)になるという。

 従来、美容と名の付く外来を開いている大学病院はほかにもあるが、大学によってどの程度力を入れているかに温度差がある。慶応義塾大学病院では、月曜日から金曜日に受付をしており、積極的に美容医療に取り組む体制を整えていくとしている。

痩身などから施術内容を充実させていく

 慶応義塾大学病院が5月7日に、同日から美容医療外来を含めた自由診療の外来を開始することを発表した。同病院の形成外科教授で、日本形成外科学会理事長も務めている貴志和生氏が外来を主導し、同病院の形成外科所属の医師が施術を担当する。

 特徴として次の3点を掲げている。

• エビデンスに基づいた美容医療を実践し、探求を通じさらなる学術的進歩に貢献します。
• 診療は全て、当院形成外科所属の医師が一貫して担当いたします。
• 病院全体と同水準の、厳重な医療安全管理を行います。

 提供する施術内容は、当初は「痩身」「きずあとの治療」「ほくろ」から始める。このうち痩身では、脂肪冷却による痩身治療「クールスカルプティング」を行う。厚生労働省から承認を受けた国内唯一の機器を使って治療を行うと説明している。また脂肪吸引手術による痩身治療も行う。

 このほか傷跡に対するフラクショナルレーザーによる治療やほくろのレーザー治療などを提供する。外科および非外科医的治療の両方を手掛ける方針で、今後、さらに施術内容を充実させていくという。

大学病院ごとに美容の取り組みには温度差

 ヒフコNEWSの調査によると、慶応義塾大学病院が美容医療外来を設置したことで、国内の美容と名の付く外来を置く大学病院は少なくとも27カ所になった。

 同じように美容と名の付く外来を置いていたとしても、大学ごとにその取り組みに温度差がある。例えば、ヒフコNEWSで神戸大学の事例を紹介したことがあるが、同大学では以前、単独の外来として美容外科を展開していたが、2023年にいったん形成外科に統合することになった。これは同じ大学でも、元々積極的に取り組む体制から、力の入れ方を緩めた体制に変わったことを示している。美容医療への力の入れ方が変わるのは、大学病院では、未承認の医薬品や医療機器を使用することが簡単ではないなど課題が存在する中で、どう取り組むかについて大学ごとの判断が大きく影響するからだ。

 冒頭で紹介したように、慶応義塾大学病院は、月曜日から金曜日まで受付する体制を整えており、他大学と比べると、積極的に美容医療に取り組むことになる。

 同大学によると、積極的に美容医療の施術内容を広げる計画であり、今後、一般の人たちが美容医療を受ける時の選択肢として関心を集めそうだ。また、大学が美容医療に取り組むということは、若い医師の研修の場としても重要になるほか、日本の私立の医科大学の中でもトップクラスと位置づけられる慶応義塾大学は研究に力を入れることも考えられる。美容医療の教育や研究は、従来課題になっており、慶応義塾大学の取り組みはそのような課題をどのように解決していくかという意味でも注目されることになりそうだ。

参考文献

新たな外来設置のお知らせ(3号館3階)

慶應義塾大学病院美容医療

日本の美容外科の未来、形成外科専門医が求められる理由、神戸大学形成外科教授の寺師浩人氏に聞く

美容医療と形成外科医、専門資格の価値が競争激化とトラブル対応の中で重要視される動きも、日本形成外科学会を振り返って 【編集長コラム】

【プロフィール】
星良孝/ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表、獣医師、ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

ヒフコNEWS

ヒフコNEWSは、国内外の美容医療に関する最新ニュースをお届けするサイトです。美容医療に関連するニュースを中立的な立場から提供しています。それらのニュースにはポジティブな話題もネガティブな話題もありますが、それらは必ずしも美容医療分野全体を反映しているわけではありません。当サイトの目標は、豊富な情報を提供し、個人が美容医療に関して適切な判断を下せるように支援することです。また、当サイトが美容医療の利用を勧めることはありません。

関連キーワード

トピックス

「池田温泉旅館 たち川」の部屋風呂に「温泉偽装疑惑」。左はHPより(現在は削除済み)、右は従業員提供
「水道水にカップ5杯の重曹を入れてグルグル…」岐阜県・池田温泉「高級旅館」の部屋風呂に“温泉偽装”疑惑 ヌルヌルと評判のお湯の真実は…“夜逃げ”オーナーは直撃に「誰からのリークなの? それ」
NEWSポストセブン
本格的に中国進出をめざすならば…(時事通信フォト)
《年内結婚報道》橋本環奈と中川大志の「結婚生活」に立ちはだかる“1万kmの距離” 2人の異なる“海外進出の希望先”
週刊ポスト
これまでジャズ歌手などとしても活動してきた参政党・さや氏(写真/共同通信社)
参政党・さや氏、歌手時代のトラブル証言 ジャズバーのママが「カチンときて縁を切っちゃいました」、さや氏は「そうした事実はない」…真っ向食い違う言い分
週刊ポスト
もうすぐ双子のママになる。Numero.jpより。
Photos:Mika Ninagawa
中川翔子3年にわたる不妊治療と2度の流産を経験 。 双子の男の子のママになる妊婦姿を披露して話題に
NEWSポストセブン
錦織圭とユニクロの関係はどうなるか(写真/共同通信社)
「ご本人からの誠意ある謝罪があった」“ユニクロ不倫”錦織圭、ファーストリテイリング広報担当が明かしたスポンサー契約継続の理由
週刊ポスト
趣里と父親である水谷豊
《女優・趣里の現在》パートナー・三山凌輝のトラブルで「活動セーブ」も…突破口となる“初の父娘共演”映画は来年公開へ
NEWSポストセブン
岐阜の「池田温泉旅館 たち川」が突然の閉鎖、事業者が夜逃げした(左は旅館のInstagramより)
【スクープ】岐阜県の名所・池田温泉の人気旅館が突然の閉鎖 町が運営委託した事業者が“夜逃げ”していた! 町長からは228万円の督促状、従業員が告発する「オーナーの計画」 給料も未払いに
NEWSポストセブン
山尾志桜里氏は2017年にダブル不倫が報じられた(時事通信フォト)
参院選落選・山尾志桜里氏が明かした“国民民主党への本音”と“国政復帰への強い意欲”「組織としての統治不全は相当深刻だが…」「1人で判断せず、決断していきたい」
NEWSポストセブン
オンカジ問題に揺れるフジ(時事通信)。右は鈴木善貴容疑者のSNSより
止まらない「オンカジドミノ退社」フジテレビ社内で話題を呼ぶ
NEWSポストセブン
中村七之助の熱愛が発覚
《元人気芸妓とゴールイン》中村七之助、“結婚しない”宣言のルーツに「ケンカで肋骨にヒビ」「1日に何度もキス」全力で愛し合う両親の姿
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
《まさかの“続投”表明》田久保眞紀市長の実母が語った娘の“正義感”「中国人のペンションに単身乗り込んでいって…」
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘の広告が消えた(共同通信)
【スクープ】大谷翔平「25億円ハワイ別荘」HPから本人が消えた! 今年夏完成予定の工期は大幅な遅れ…今年1月には「真美子さん写真流出騒動」も
NEWSポストセブン