「想定外の処分だった」と語った石橋監督
「日本高野連と校長の考えにズレ」
それでも、附田校長は頑として折れなかった。そこまで強硬な態度を続けるのはなぜか。附田校長は以前から日本高野連に対して不信感を抱いていたのではないか──と石橋監督は言った。
「私が就任する以前の話となりますが、他校の野球部でイジメに遭い、本校に編入してきた生徒がいたそうです。ところが、他校の野球部はイジメがあったことを認めなかった。自己都合で退学したとなれば、編入してきたその生徒は1年間、高野連の規定によって公式戦に出場できません。そこで高野連に調査をお願いしたところ、『高野連は調査機関ではない』という回答があったそうです。そういう経緯から日本高野連の考えと校長の考えにズレが生じたんだと思います」
3か月の謹慎処分が決まった翌朝、改めて石橋監督を通して附田校長への取材を申し込んだが、校長の体調不良を気遣い、取材に応じられる状況ではないとのことだった。そして自身のおよそ3か月の謹慎については、「想定外の処分だった」と明かした。
「何かしらの処分は覚悟していましたし、謹慎になるとしても、1か月ぐらいだと思っていました。3か月あまりの謹慎は、私の暴言やパワハラに対する処分ではなく、指定された時期を過ぎても報告書を出さなかったことへの処分でしょう……」
日本学生野球協会は同校に対しては改めて報告書の提出を求めている。もし従わなければ――。
「もっと重い処分、つまり除名のような形になるかもしれませんね……子供たちが不利益を被ることだけは避けなければなりません」
今回の騒動の最大の被害者は、白球を追う球児たちだ。
◆取材・文/柳川悠二(ノンフィクションライター)
