スポーツ

【レジェンドOBのプロ野球改革案】350勝・米田哲也氏「中継ぎや抑えなど不要。高い給料もらって1イニングだけ投げる投手がいる継投策は止めるべき」

米田哲也氏は投手の“分業制”に疑義を呈した

米田哲也氏は投手の“分業制”に疑義を呈した

 長い歴史のなかで、日本のプロ野球のあり方は大きく変わった。そうしたなか、令和の球界をプロ野球のレジェンドたちはどう見ているのか。本誌・週刊ポストの名物企画「言わずに死ねるか!」球界編では、その計り知れないスタミナから現役時代に「ガソリンタンク」と呼ばれた元阪急・米田哲也氏(86)に話を聞いた。故・金田正一氏(元国鉄、巨人)に次ぐ歴代2位となる通算350勝をあげた鉄腕は、自身の経験をもとに、投手の“分業制”が球界の常識となっていることについて疑義を呈した。【全5回の第4回。第1回から読む

 * * *
 先発を任されたら完投を目指す。その能力がなければ先発ローテに組み入れちゃダメだね。今の選手は、まず文句から始まる。昔は肩が壊れたら辞めてやるというくらいの覚悟を持っていました。今は球団が選手を甘やかし過ぎで、過保護に育てているから、そんな覚悟のある選手はいないんでしょうね。

 監督やコーチは故障した時の責任を負いたくないから中6日にして、分業制にしている。でもね、先発能力があれば誰でも150球ぐらい投げられますよ。投げさせないなから完投能力がつかなくなる。

 そもそも、中6日で故障する投手がいることに驚いている。原因はひとつ。投げ込み不足です。キャンプのブルペンで1日に150球投げる投手がいませんからね。ブルペンで100球も投げずに完投しようというほうが無理。試合で1イニング15球を投げて、それが9回で135球ですからね。シーズン中に完投できそうな場面になっても、球数を投げていないから135球が未知の世界になる。これでは話にならない。

キャンプでは1日350球投げた

 球数を投げることで初めてコントロールがつくんです。ボクはキャンプでは1日350球を3回ぐらい投げました。1時間半はかかるので、キャッチャーが大変。そのため専属のブルペンキャッチャーを置いていたほどでした。ただ、投げるほど体のキレがよくなります。300球超を投げることで、体のバランスができてくる。たとえば上半身と下半身のバランスがよくないとうまく投げられない。球数を投げることで、理想的な投げ方も体感できるわけです。

 昔は先輩が球数を投げるから、若い者も投げざるを得なかった。ボクや山田(久志)の投球を見ていた佐藤義則が“先輩が投げるから”といって付き合っていたが、そういう選手ほど長く現役を続けられた。

 プロ野球で自分の限界を見極めるぐらいの投げ込みをやれば、中継ぎや抑えなど不要。先発完投できます。高い給料もらって1イニングだけ投げるようなピッチャーがいる継投策は止めるべき。

 ボクの949試合登板はカネさん(金田氏)を抜いた数少ない日本記録ですが、中日の岩瀬仁紀の1002試合に抜かれてしまった。でも、ボクが5130イニングに対し、ストッパーの岩瀬は985イニング。同等に扱われたくないとい気持ちが強い。それぐらい先発完投に誇りを持っています。

関連キーワード

関連記事

トピックス

都内の人気カフェで目撃された田中将大&里田まい夫妻(時事通信フォト/HPより))
《ファーム暮らしの夫と妻・里田まい》巨人・田中将大が人気カフェデートで見せた束の間の微笑…日米通算200勝を目前に「1軍から声が掛からない事情」
NEWSポストセブン
浅草・浅草寺で撮影された台湾人観光客の写真が物議を醸している(Xより)
「私に群がる日本のファンたち…」浅草・台湾人観光客の“#羞恥任務”が物議、ITジャーナリスト解説「炎上も計算の内かもしれません」
NEWSポストセブン
新横綱・大の里(時事通信フォト)
《横綱昇進》祖父が語る“怪物”大の里の子ども時代「生まれたときから大きく、朝ご飯は2回」「負けず嫌いじゃなかった」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《スヤスヤ寝顔動画で話題の佳子さま》「メイクは引き算くらいがちょうどよいのでは…」ブラジル訪問の“まるでファッションショー”な日替わり衣装、専門家がワンポイントアドバイス【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
ヤクザが路上で客引きをしていた男性を脅すのにトクリュウを呼んで逮捕された(時事通信フォト)
《ヤクザとトクリュウの上下関係が不明に》大阪ミナミでトクリュウを集めて客引き男性を脅して暴力団幹部が逮捕 この事件で”用心棒”はどっちだったのか 
NEWSポストセブン
2013年大阪桐蔭の春夏甲子園出場に主力として貢献した福森大翔(本人提供)
【10万人に6例未満のがんと闘う甲子園のスター】絶望を支える妻の献身「私が治すから大丈夫」オリックス・森友哉、元阪神・西岡や岩田も応援
NEWSポストセブン
新横綱・大の里(時事通信フォト))
《地元秘話》横綱昇進の“怪物”大の里は唯一無二の愛されキャラ「トイレにひとりで行けないくらい怖がり」「友達も多くてニコニコしてかわいい子だったわ」
NEWSポストセブン
ミスタープロ野球として、日本中から愛された長嶋茂雄さんが6月3日、89才で亡くなった
長島三奈さん、自身の誕生日に父・長嶋茂雄さんが死去 どんな思いで偉大すぎる父を長年サポートし続けてきたのか
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
金髪美女インフルエンサー(26)が “性的暴力を助長する”と批判殺到の「ふれあい動物園」企画直前にアカウント停止《1000人以上の男性と関係を持つ企画で話題に》
NEWSポストセブン
逮捕された波多野佑哉容疑者(共同通信)。現場になったラブホテル
《名古屋・美人局殺人》「事件現場の“女子大エリア”は治安が悪い」金髪ロングヘアの容疑者女性(19)が被害男性(32)に密着し…事件30分前に見せていた“親密そうな様子”
NEWSポストセブン
東京・昭島市周辺地域の下水処理を行っている多摩川上流水再生センター
《ウンコは資源》排泄大国ニッポンが抱える“黄金の資源”を活用できてない問題「江戸時代の取引金額は10億円前後」「北朝鮮では売買・窃盗の対象にも」
NEWSポストセブン
ブラジル公式訪問中の佳子さま(時事通信フォト)
《佳子さまの寝顔がSNSで拡散》「本当に美しくて、まるで人形みたい」の声も 識者が解説する佳子さま“現地フィーバー”のワケ
NEWSポストセブン