スポーツ

江本孟紀氏が“高校野球の7回制導入議論”に私見「アホですよ。それじゃ野球にならへん。野球は9回。それが野球の一丁目一番地なんです」

舌鋒鋭い江本孟紀氏

舌鋒鋭い江本孟紀氏

 プロ野球のレジェンドたちが登場する本誌・週刊ポストの名物企画「言わずに死ねるか!」球界編。辛口評論で知られる江本孟紀氏(77)は、話題の「7回制導入」に物申す。現役時代に南海でエースを張り、阪神移籍後に「ベンチがアホやから野球ができへん」の“暴言”の責任を取って引退したが、今もその舌鋒は鋭い。高校野球の「暑さ対策」の話題は、江本氏の目にはどう映るのだろうか。【全5回の第5回。第1回から読む

 * * *
 猛暑対策として、高校野球で「7回制導入」の議論が始まったという。選手の健康面を考慮して、試合時間を短縮するのが狙いだという。もちろん、選手の健康面に配慮して、何か対策を検討することにイチャモンをつけるつもりはない。だけど、9回を戦うという野球の本質・根幹を変えようというのはあまりにも拙速。チンケなことを考える高野連には、ちょっとええ加減にせいよと言いたいね。

 そりゃダメでしょう。野球は9回でしょう。暑いからとゴルフを16ホールでやりますか。我々年寄りが“14ホールでいいかな”と思っても、18ホールやらないとホールアウトしたことにならない。暑いからといってマラソンを30キロでやりますか。そんなことを言い出すのは野球だけですよ。

 野球は9回を9人で打って守るスポーツ。暑さ対策なら、他にもいくらでもある。たとえば、ベンチ入りを大幅に増したっていい。昨年、20年ぶりに18人から20人に増員したが、倍の40人ぐらいにしたらどうか。ベンチ入りできなかった選手が炎天下のアルプススタンドで汗だくになって応援しているんだから、ベンチ枠を増やしてやればいい。選手の出場チャンスは広がるし、2イニングずつ出ればレギュラーの負担も軽減される。

高校球児の声を無視してはいけない

 全国の高校球児にアンケートを取って、“7回がいいです”“私たちしんどいです”という声が圧倒的なら7回制にすればいいですよ。でも、高校球児は炎天下の甲子園で野球をするためにガキの頃から練習している。それを無視するようなことを言っちゃダメですよ。先日もある高校球児と話をしたら“みんな9回やりたい。そのつもりで練習しています”と言っていた。子供たちのやる気をどうすれば活かせるかを考えてもらいたい。

 そもそも、ノーヒットの試合だと9人のバッターのうち6人は、試合終了までに3回打席に立てない可能性がある。そんなおかしなルールを教育現場でやっていいのかと言いたいね。特に高校野球は地方大会で負けたら終わり。新幹線や飛行機でやってきた甲子園に出場しても1回戦で負ければ終わり。そんな大事な試合を9回ではなく7回にしたらどうかと議論することが馬鹿げている。

 要するに、あまりにも大衆迎合主義なんですよ。世の中の風潮にすぐ惑わされるというか、子供の意思を無視し、伝統ある野球のルールを勝手に変えてはアカンでしょう。これまでの甲子園で生まれた数々の記録を塗り替えることができなくなる。

関連キーワード

関連記事

トピックス

役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さんが今も築地本願寺を訪れる理由とは…?(事務所提供)
《笑福亭笑瓶さんの月命日に今も必ず墓参り》俳優・山口良一(70)が2年半、毎月22日に築地本願寺で眠る亡き親友に手を合わせる理由
NEWSポストセブン
高市早苗氏が首相に就任してから1ヶ月が経過した(時事通信フォト)
高市早苗首相への“女性からの厳しい指摘”に「女性の敵は女性なのか」の議論勃発 日本社会に色濃く残る男尊女卑の風潮が“女性同士の攻撃”に拍車をかける現実
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン
日本全国でこれまでにない勢いでクマの出没が増えている
《猟友会にも寄せられるクレーム》罠にかかった凶暴なクマの映像に「歯や爪が悪くなってかわいそう」と…クレームに悩む高齢ベテランハンターの“嘆き”とは
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
浅香光代さんと内縁の夫・世志凡太氏
《訃報》コメディアン・世志凡太さん逝去、音楽プロデューサーとして「フィンガー5」を世に送り出し…直近で明かしていた現在の生活「周囲は“浅香光代さんの夫”と認識しています」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン
温泉モデルとして混浴温泉を推しているしずかちゃん(左はイメージ/Getty Images)
「自然の一部になれる」温泉モデル・しずかちゃんが“混浴温泉”を残すべく活動を続ける理由「最初はカップルや夫婦で行くことをオススメします」
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月20日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン