人物デザイナーの第一人者となる柘植氏が描いた桔梗魁のイメージ
──まず、人物デザイナーとはどのようなお仕事なのでしょうか。
「人物デザイン」って、聞きなれない言葉ですよね。これ自体が言葉として表に出てきたのは、二〇一〇年の大河ドラマ『龍馬伝』の時です。その時に「人物デザイン監修」、要するに、登場してくる役柄のすべての扮装……衣装から化粧からヘアから、その人物の持ち道具だとか……それらをデザインし、統括する役割になりました。そして撮影期間もマネジメントしていくところまで担います。あと、それぞれの部門を誰が担当するのかの編成も決めます。要は扮装に関する統括です。
──そこまで全体的に統括されているのですね。撮影期間もというのは、具体的にどのようなことを?
撮影が始まって、それが滞りなく進行しているのかを見ます。長い期間になると、当初の設計とずれていくことは往々にしてあるので。それを管理していく役割です。建築と同じです。
──建築の役割でいうところの施工管理、昔の言い方だと現場監督的な役割もされているわけですね。一つの「人物デザイン」が建築物だとすると、その設計から施工管理まで務めている、と。
構造としては同じだと思います。要は工房的なやり方なのです。現代アートの工房システムみたいなものです。たとえばコスチュームデザイナーだったら、服飾のみのデザインですよね。でも、人物デザインだと全体になる。そういう意味では、アニメーションのキャラクターデザインのほうに近いのかもしれないです。