若かりし頃の「おすぎとピーコ」
「いざ同居を始めてみると、これまでと違うおすぎさんの様子にピーコさんは大きなショックを受けました。おすぎさんの認知症の症状が、予想以上に進行していたようなんです。
イライラからピーコさんが言葉を荒らげる回数が増え、出がけにおすぎさんに“早くしなさいよ! 何してるの!”と怒鳴ることが多くなりました。ピーコさんが“いますぐ出ていってちょうだい!”とおすぎさんを追い出し、行く当てもなく街を徘徊するおすぎさんが警察に保護されたこともありました。
実はこの頃、ピーコさんにも認知症の症状が出始めていて、記憶力が落ちると同時に、感情の起伏が激しくなっていたんです。しかもピーコさんにはその自覚があったので、人一倍苦しんでいました」(前出・ピーコの知人、以下同)
怒ってはいけないとわかっていながらどうしても感情を抑えることができず、この世でたったひとりの肉親を罵倒してしまう。大声を出したピーコはいつも自分を激しく責めて、やりきれない思いを抱えていた。もうこれ以上、おすぎと一緒にいてはいけないのではないか──苦しい毎日が続くなか、ピーコは決断した。