松尾氏の著書『あなたの生きづらさ“昭和な呪い”のせいでした』では、読者がスムーズに内容を理解できるよう、コンテンツからインスパイヤされたマンガが随所に差し込まれている
昭和な呪いに対するリテラシーを高めることが最大の防御
「情報化社会、ましてや通信機器の普及やネットワークのつながりやすさのせいで常時オンライン状態になってしまった現代を生きる今の私たちにとって、呪いの言葉を一切浴びずに過ごすことは至難の業でしょう。絶え間なくやってくる呪いの情報に対するリテラシーを高めることが最も有効な手段であると言えます。リテラシーとは、情報を正確に理解し、活用する能力や判断力のことです。発せられた言葉の意図や思惑を見抜き、不要な情報を捨て、正しい情報を選び取る力を養うのです。
呪いの言葉は、人から言われた言葉やメディアで目にする記事まで広範囲に及びますが、それらに共通するのは情報の一種であるということです。適切に情報処理できれば、呪いはそれほど怖くありません。日々メールを処理していると、スパムなどの怪しいメールはクリックせずにサッとゴミ箱に捨てますよね。呪いを解く工程もこれと同じようなことだと思ってください。
まず、どんな呪いがあるのかを知ることが大切です。少しでも知識があれば、呪いにかからずに済みますし、既にかかっている呪いに対しても落ち着いて対応できます」
さらに、松尾氏は、“昭和な呪い”の呪縛を解決するためには、まずそれらの存在を認識し、本来の自分らしい生き方を取り戻すために、意識的に思考の枠組みを再構築することが重要であると指摘し、いまだ仕事や日常生活の中で当たり前のように交わされ、無意識に受け入れられている典型的な「昭和的なフレーズ」を列挙する。特に、社会で頻繁に議論されるテーマに関連して、これらのフレーズを以下の七つの「呪い」に分類している。
・集団の調和を最優先し、個人の意見や創造性を抑圧する風潮を生み出す「空気を読め」の呪い
・性別に基づいた役割分担や行動規範をこり固めてしまう「ジェンダーの呪い」
・過度な働き方や自己犠牲を美徳とする「24時間戦えますか?の呪い」
・年齢による能力や役割のステレオタイプ化してしまう「年齢の呪い」
・母親の家事労働過多を生み出す育児や家事は女性という固定観念「ママなんだからの呪い」
・他者と比較し、優劣を競う風潮を煽る「マウンティングの呪い」
・親子間での過干渉やモラハラを生み出しやすくしてしまう「アットホームの呪い」
今回は、その中から「空気読めの呪い」を取り上げることにしよう。
