スポーツ
週刊ポスト創刊55周年特別企画

金田正一氏400勝達成から55年 捕手・森祇晶氏「カネさんとはノーサイン。投げる瞬間に打者の動きを見て球種やコースを変えた」

金田正一さんが日本プロ野球史上唯一の400勝を達成したのも1969年

金田正一さんが日本プロ野球史上唯一の400勝を達成したのも1969年

 今から55年前、1969年の年の出来事には前例のないことへの挑戦心、仕事への誇り、そして未来へ向かうパワーが横溢していた。“カネヤン”こと金田正一氏が通算400勝を達成したのも1969年。野球への情熱が不滅の記録の原動力だった。【週刊ポスト創刊55周年記念特別企画】

 メジャーリーグの記録を次々と塗り替える大谷翔平の活躍からさかのぼること55年前、想像を超える記録が生まれた。1969年10月10日、巨人の金田正一が日本プロ野球史上唯一の400勝を達成した。

 今や200勝も困難な時代だが、金田は400勝に加え、デビュー2年目から続けた14年連続「20勝以上」「200奪三振以上」「300イニング以上」は、永遠に破られることがない記録だろう。

 国鉄のエースとして長嶋茂雄のデビュー戦で4打席4三振に斬ってとった金田は、1965年に巨人へ移籍。そのシーズンからV9が始まった。巨人の“頭脳”と呼ばれたV9戦士の正捕手だった森祇晶氏が振り返る。

「カネさんが巨人に移籍してきたことでチームが大きく変わりました。ONですら舌を巻く猛練習をしたのですから。練習だけでなく、食べ物をはじめ、体の管理も徹底していて、それを目の当たりにしたナインは大きな刺激を受けました。

 カネさんとはノーサインでやっていました。投げる瞬間に打者の動きを見て球種やコースを変える。それができる類い稀な投手だった。受け手は大変でしたが、おかげで守備はかなり鍛えられました(笑)。頑健な身体はもちろんとして、野球に対する情熱が大記録へ導いたのでしょう」

 この年は2位の阪神も江夏豊が15勝で防御率1位、村山実が12勝で防御率2位、鈴木皖武が防御率3位と、防御率の上位を独占。若生智生も12勝を挙げ、田淵幸一が22本塁打で新人王に輝くなど、名選手が躍動した1年だった。

取材・文/鵜飼克郎

※週刊ポスト2024年12月6・13日号

関連記事

トピックス

元交際相手の白井秀征容疑者(本人SNS)のストーカーに悩まされていた岡崎彩咲陽さん(親族提供)
《川崎・ストーカー殺人》「悔しくて寝られない夜が何度も…」岡崎彩咲陽さんの兄弟が被告の厳罰求める“追悼ライブ”に500人が集結、兄は「俺の自慢の妹だな!愛してる」と涙
NEWSポストセブン
グラドルから本格派女優を目指す西本ヒカル
【ニコラス・ケイジと共演も】「目標は二階堂ふみ、沢尻エリカ」グラドルから本格派女優を目指す西本ヒカルの「すべてをさらけ出す覚悟」
週刊ポスト
阪神・藤川球児監督と、ヘッドコーチに就任した和田豊・元監督(時事通信フォト)
阪神・藤川球児監督 和田豊・元監督が「18歳年上のヘッドコーチ」就任の思惑と不安 几帳面さ、忠実さに評価の声も「何かあった時に責任を取る身代わりでは」の指摘も
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《ハワイで白黒ペアルック》「大谷翔平さんですか?」に真美子さんは“余裕の対応”…ファンが投稿した「ファミリーの仲睦まじい姿」
NEWSポストセブン
赤穂市民病院が公式に「医療過誤」だと認めている手術は一件のみ(写真/イメージマート)
「階段に突き落とされた」「試験の邪魔をされた」 漫画『脳外科医 竹田くん』のモデルになった赤穂市民病院医療過誤騒動に関係した執刀医と上司の医師の間で繰り広げられた“泥沼告訴合戦”
NEWSポストセブン
被害を受けたジュフリー氏、エプスタイン元被告(時事通信フォト、司法省(DOJ)より)
《女性の体に「ロリータ」の書き込み…》10代少女ら被害に…アメリカ史上最も“闇深い”人身売買事件、新たな写真が公開「手首に何かを巻きつける」「不気味に笑う男」【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
2025年はMLBのワールドシリーズで優勝。WBCでも優勝して、真の“世界一”を目指す(写真/AFLO)
《WBCで大谷翔平の二刀流の可能性は?》元祖WBC戦士・宮本慎也氏が展望「球数を制限しつつマウンドに立ってくれる」、連覇の可能性は50%
女性セブン
「名球会ONK座談会」の印象的なやりとりを振り返る
〈2025年追悼・長嶋茂雄さん 〉「ONK(王・長嶋・金田)座談会」を再録 日本中を明るく照らした“ミスターの言葉”、監督就任中も本音を隠さなかった「野球への熱い想い」
週刊ポスト
12月3日期間限定のスケートパークでオープニングセレモニーに登場した本田望結
《むっちりサンタ姿で登場》10キロ減量を報告した本田望結、ピッタリ衣装を着用した後にクリスマスディナーを“絶景レストラン”で堪能
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん(時事通信フォト)
笹生優花、原英莉花らを育てたジャンボ尾崎さんが語っていた“成長の鉄則” 「最終目的が大きいほどいいわけでもない」
NEWSポストセブン
日高氏が「未成年女性アイドルを深夜に自宅呼び出し」していたことがわかった
《本誌スクープで年内活動辞退》「未成年アイドルを深夜自宅呼び出し」SKY-HIは「猛省しております」と回答していた【各テレビ局も検証を求める声】
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん
亡くなったジャンボ尾崎さんが生前語っていた“人生最後に見たい景色” 「オレのことはもういいんだよ…」
NEWSポストセブン