ファストフード店で中学生2人が刺され1人が死亡した事件で、記者会見する福岡県警の持丸宗徳・小倉南署長(左)と橋本浩輔捜査1課長(時事通信フォト)

ファストフード店で中学生2人が刺され1人が死亡した事件で、記者会見する福岡県警の持丸宗徳・小倉南署長(左)と橋本浩輔捜査1課長(時事通信フォト)

 デマの発生により、捜査当局や遺族、そして関係者は、負わなくてよい負担を強いられ、感じなくてよかった恐怖に恐れおののくことになった。しかし、それでも、デマを真まき散らした人々は、自身の行動を省みたり、反省することはない。それどころか、警察批判やマスコミ批判を繰り返し、他社の責任を追及する日々の作業に余念がない、という有様だ。

 もちろん、ネット上には正しい情報「も」ある。マスコミによる報道であっても間違った情報「も」あろう。それは事実だが、本事件に関して、SNSでデマを発信したり、見かけたデマを検証もせず拡散する人たちが少なからずいる以上、やはり「出所不明の情報」には注意し続けるしかないし、その情報の信頼性はますます「誰が発信しているか」に依拠していくだろう。だが、本人が発信しているから事実だとは限らないという現実も忘れてはならない。

「無責任に言いたい放題、やりたい放題の人が発信する情報の方が、なんとなく本当だと信じてしまう。今回の事件のような、非日常的かつ緊急的な状況下では、その傾向が強くなると身をもって知りました。冷静でなければならないときほど、デマに踊らされる危険性は高いんです」(公務員の男性)

 スマホひとつで、指ひとつで簡単に発信できるようになってからというもの、私たちが得られる情報は圧倒的に増えた。いや、増えたどころか、津波のように押し寄せる大量の情報を処理しきれず、パニックにさえなっている。だからこそ、膨大な情報を精査したり真偽を確認することなく、自分の信じたい情報だけをつまみ食いしてしまい、その結果、事実とは完全に異なる事象を「真実」と捉え、認知がゆがんでしまう。自身は多くの情報に触れているつもりでも、ごく狭い範囲の、しかもデマ情報にばかり接しているに過ぎず、自分が置かれた狭い世界に気がつかないのだ。

 

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