国内

《北九州中学生殺傷事件の余波》容疑者逮捕後も続くSNSでのデマ拡散「関係ない人たちが我々をもてあそんでいる」と怒りの地元住民

送検のため、福岡県警小倉南署を出る平原政徳容疑者(右)。12月20日午後(時事通信フォト)

送検のため、福岡県警小倉南署を出る平原政徳容疑者(右)。12月20日午後(時事通信フォト)

 逃走中の容疑者が逮捕され事件解決で一安心、というわけにはいかないようだ。北九州で起きた中学生殺傷事件では、いまも地域住民のあいだに不安が広がったままだ。社会に不穏な雰囲気を漂わせたのは、事件そのものだけでなく、SNS上に漂い続ける無責任な断定口調のフェイク情報、デマの数々だ。ライターの宮添優氏が、いまも止まらないデマの連鎖に悩まされる地域住民の不安についてレポートする。

 * * *
 12月14日夜に発生した福岡・北九州市で発生した中学生殺傷事件は、中年男性と報じられた犯人が逃走して数日間、住民は不安なまま過ごしていた。19日に容疑者の男が逮捕されると、地域には「ホッとした」「これで出歩ける」などといった安堵の声も漏れ聞こえてくるようになった。しかし、容疑者が逮捕されてもなお、市内の小中学校の約500人の児童や生徒が事件への不安を訴え、学校を休んでいたことが明らかになった。

警察は事件捜査と同時にデマへの対応

「正直、私たち(親)も様々な情報を鵜呑みにして怖がっていたので、それが子供たちにも伝搬してしまったのかもしれません。子供たちは子供たちで、ネットを見て色々な情報を得ていたようで、それも影響しているみたいです」

 筆者の取材に答えてくれたのは、事件が発生した北九州市小倉南区内に住む公務員の男性(40代)。小学校6年生の娘は、事件直後から「犯人が捕まってなくて怖い」と訴え、学校を休んだ。そして、犯人が逮捕された今も、学校へ行きたいという気持ちはあるが、恐怖心から玄関から出られずにいるという。何が原因なのか。

「犯人が捕まっても、本当に犯人なのか?と疑うんです。ネット上の噂を見聞きした友達から、そういった話を聞いてきたみたいです。もっとも、犯人が捕まる前、保護者の間にもデマが拡散され、我々大人も振り回されたほどなんですが」(公務員の男性)

 SNSが今のように使われる以前から、学校に通う年齢の子供たちは友だちからの噂話に惑わされやすい。1980年頃に流行した口裂け女などの都市伝説や、トイレの花子さんのような学校の怪談などは典型だろう。現在はそこにSNSという伝播スピードが格段に速いツールが加わり、大人でも向き合い方に悩まされている。

 実際に今回の事件は、発生直後からSNS上には様々なデマが飛び交った。まず目立ったのは、犯人が逃走中に、防犯カメラ映像などがなかなか公開されたかったことを荒唐無稽な陰謀論のように仕立て上げたものだ。飲食店内での発生事案ならば、店の防犯カメラがあるだろうと簡単に連想されたためだ。実際には、犯人に逃げられる恐れがあったため映像を公開しなかったのだが、一部で「マスコミが隠蔽しているのは、犯人が外国人だから」と断定するような投稿が拡散された。

関連キーワード

関連記事

トピックス

初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
芸能活動を再開することがわかった新井浩文(時事通信フォト)
「ウチも性格上ぱぁ~っと言いたいタイプ」俳優・新井浩文が激ヤセ乗り越えて“1日限定”の舞台復帰を選んだ背景
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
小説「ロリータ」からの引用か(Aでメイン、民主党資料より)
《女性たちの胸元、足、腰に書き込まれた文字の不気味…》10代少女らが被害を受けた闇深い人身売買事件で写真公開 米・心理学者が分析する“嫌悪される理由”とは
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン